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中国の有名な画家・張僧繇(ちょうそうよう)は、皇帝に命じられて安楽寺の壁に4匹の白い竜の絵を描きました。
張は4匹の竜を描きましたが、瞳を描かずに筆を止めてしまいました。
皇帝が「なぜ瞳がないのか」と問うと、張は「竜に瞳を描くと空に飛んで行ってしまうから」と答えます。
張の話を信じる人はいませんでした。
無理を言って2匹の竜に瞳を描いてもらうと、瞳を描いていない2匹の竜は残り、瞳を描いた2匹は飛んで行ってしまいました。
この故事から、「最後に大切な部分を付け加えて、物事を完全に仕上げる」という意味で【画竜点睛】が使われるようになりました。
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①意味・読み方 |
② 由来・語源 |
③使い方・例文 |
④漢文の書き下し文・現代語訳 |
⑤同じ意味の四字熟語(点睛開眼) |
⑥類義語 |
⑦対義語 |
⑧英語表現 |
⑨中国語表現 |
⑩ポケモンの技【画竜点睛/ガリョウテンセイ】 |
⑪日本酒【画竜点睛】 |

【画竜点睛】と同じ意味の四字熟語 |
点睛開眼(てんせいかいがん) |

【画竜点睛】12の類義語 | ||
大詰め | 総仕上げ | 入眼 |
物事の肝 | 締めくくり | 仕上げ |
追い込み | 要 | 肝心 |
肝要 | 有終の美 | 有終完美 |
「画竜点睛を欠く」6つの類義語 | ||
不備 | 不測 | 未完 |
半端 | 仏作って魂入れず | 九仞の功を一簣に虧く |

【画竜点睛】の対義語 |
蛇足 |

【画竜点睛】2つの英語表現 | |
the finishing touch [stroke] | It’s incomplete. |

【画竜点睛】2つの中国語表現 | |
画龙点睛 | 画龙点睛之处 |


【画竜点睛(がりょうてんせい)】の意味・読み方
意味・読み方
- ❶【画竜点睛】の意味
- ❷「画竜(がりょう)」の意味
- ❸「点睛(てんせい)」の意味
- ❹【画竜点睛】の読み方

【画竜点睛】の意味
【画竜点睛】の意味は、最後に大切な部分を付け加えて、物事を完全に仕上げることです。
【画竜点睛】の意味 |
最後に大切な部分を付け加えて、物事を完全に仕上げること |
「画竜(がりょう)」の意味
「画竜」の意味は、絵に描いた竜です。
「画竜」の意味 |
絵に描いた竜 |
「点睛(てんせい)」の意味
「点睛」の意味は、絵に瞳を書き入れることです。
「点睛(てんせい)」の意味 |
絵に瞳を書き入れること |
「睛」という漢字は「瞳」を意味します。
【画竜点睛】の読み方
【画竜点睛】の読み方は、「がりょうてんせい」です。
「がりゅう」と読まれることがありますが、間違いです。
また、「睛」が「晴」と書かれることがありますが、これも間違いです。
「睛」という漢字は「瞳」を意味するので、「晴」で代用することはできません。
【画竜点睛】の由来・語源
由来・語源
- ❶由来・語源は竜の絵の故事
- ❷竜の絵の故事/物語の内容
- ❸画家「張僧繇(ちょうそうよう)」とは
- ❹「歴代名画記(れきだいめいがき)」とは
- ❺中国「金陵の安楽寺」の場所

【画竜点睛】の由来・語源は竜の絵の故事
【画竜点睛】の由来・語源は、竜の絵の故事です。
中国の唐時代の画史書「歴代名画記(れきだいめいがき)」に書かれている物語です。
竜の絵の故事/物語の内容
中国の南北朝時代、梁の皇帝・武帝(ぶてい)が金陵(きんりょう)に安楽寺を建立しました。
武帝は、中国の有名な画家・張僧繇(ちょうそうよう)に、安楽寺の壁に4匹の白い竜の絵を描かせました。
張は4匹の竜を描きましたが、瞳を描かずに筆を止めてしまいました。
皇帝が「なぜ瞳がないのか」と問うと、張は「竜に瞳を描くと空に飛んで行ってしまうから」と答えます。
張の話を信じる人はいませんでした。
無理を言って2匹の竜に瞳を描いてもらうと、瞳を描いていない2匹の竜は残り、瞳を描いた2匹は飛んで行ってしまいました。
この故事から、「物を完全なものにする最後の仕上げ」という意味で【画竜点睛】が使われるようになりました。
画家「張僧繇(ちょうそうよう)」とは
「張僧繇(ちょうそうよう)」は、中国の南北朝時代に活躍した宮廷画家です。
顧愷之(こがいし)・陸探微(りくたんび)と共に三大画家と称されました。
道教・仏教に関する人物画を得意とし、武帝に使え多くの寺院に壁画を描いた人物です。
「歴代名画記(れきだいめいがき)」とは
「歴代名画記(れきだいめいがき)」は、中国最初の本格的画史書で十巻からなります。
中国の唐時代の官僚・張彦遠(ちょうげんえん)が、唐時代末までの371名の画家の伝記や評論をまとめたものです。
古代から唐時代は絵画がほとんど現存していないので、研究者にとっては貴重な文献となっています。
中国「金陵の安楽寺」の場所
中国の「金陵(きんりょう)」の場所は、現在の南京市です。
「金陵」は「南京(なんきん)」の古称です。
「安楽寺」は現存していないので、由来となった竜の壁画も現存していません。
【画竜点睛】使い方・例文
使い方・例文
- ❶使い方
- ❷例文

使い方
【画竜点睛】は、「画竜点睛を欠く」という使い方をされることが多いです。
「画竜点睛を欠く」は、最後の仕上げが不十分、不完全という意味です。
「点睛」だけでも、【画竜点睛】と同じ意味で使われます。
「画竜点睛を欠く」の意味 |
・最後の仕上げが不十分 ・不完全 |
「点睛」の意味 |
物事を完成させるための重要な最後の仕上げ |




例文
例文1 | この企画は画竜点睛を欠く。 |
例文2 | ミスを防ぐために、画竜点睛を心掛ける。 |
例文3 | 面白い題材の映画なのに、結末がイマイチで、画竜点睛を欠いた作品だった。 |
【画竜点睛】漢文の書き下し文・現代語訳

原文・白文 | 張僧繇、呉中人也。 |
書き下し文 | 張僧繇は、呉中の人なり。 |
読み方 | ちょうそうようは、ちゅうのひとなり。 |
現代語訳 | 張僧繇は、呉中の人である。 |
原文・白文 | 武帝崇飾仏寺、多命僧繇画之。 |
書き下し文 | 武帝仏寺を崇飾し、多く僧繇に命じて之に画かしむ。 |
読み方 | ぶていぶつじを そうしょくするに、おおくそうようにめいじて これに えがかしむ。 |
現代語訳 | 武帝は仏寺を立派に装飾するときには、その多くを僧繇に命じて絵を描かせていた。 |
原文・白文 | 金陵安楽寺四白竜、不点眼睛。 |
書き下し文 | 金陵の安楽寺の四白竜は、眼睛を点ぜず。 |
読み方 | きんりょうの あんらくじの はくりゅうは、がんせいをてんぜず。 |
現代語訳 | 金陵の安楽寺の四匹の白龍には、瞳を描かなかった。 |
原文・白文 | 毎云、「点睛即飛去。」 |
書き下し文 | 毎に云ふ、「睛を点ぜば即ち飛び去らん。」と。 |
読み方 | つねにいう、「ひとみをてんぜば、すなわち とびさらん。」と。 |
現代語訳 | (僧繇は)いつも言っていた。「瞳を描き入れたら、すぐに飛び去ってしまうだろう。」と。 |
原文・白文 | 人以為妄誕、固請点之。 |
書き下し文 | 人以つて妄誕と為し、固く之に点ぜんことを請ふ。 |
読み方 | ひともってもうたんとなし、かたくこれを てんぜんことをこう。 |
現代語訳 | 人々はでたらめだと思って、強く瞳を描き入れることを求めた。 |
原文・白文 | 須臾雷電破壁、両竜乗雲、騰去上天。 |
書き下し文 | 須臾にして雷電壁を破り、両竜雲に乗り、騰去して天に上る。 |
読み方 | しゅうにしてらいでんかべをやぶり、りょうりゅうくもにのり、とうきょしててんにのぼる。 |
現代語訳 | 瞬く間に稲妻が壁を突き破り、2匹の竜は雲に乗り、躍り上がって天に上っていった。 |
原文・白文 | 二竜未点眼者、見在。 |
書き下し文 | 二竜の未だ眼を点ぜざる者は、見に在り。 |
読み方 | にりゅうのいまだめを てんぜざるものは、げんにあり。 |
現代語訳 | 二匹の竜でひとみを描きいれていないものは、今も存在している。 |
【画竜点睛】と同じ意味の四字熟語(点睛開眼)

【画竜点睛】と同じ意味の四字熟語に「点睛開眼(てんせいかいがん)」があります。
「点睛開眼」の意味 |
最後に大切な部分を付け加えて、物事を完全に仕上げること |
「点睛開眼」も【画竜点睛】と同じで、「歴代名画記」に書かれている「竜の絵」の故事に由来します。
【画竜点睛】「画竜点睛を欠く」の類義語
類義語
- ❶【画竜点睛】12の類義語
- ❷「画竜点睛を欠く」6つの類義語

【画竜点睛】12の類義語
【画竜点睛】の類義語には、「大詰め」「総仕上げ」などがあります。
【画竜点睛】12の類義語 |
||
1 | 大詰め (おおづめ) |
物事の最終段階 |
2 | 総仕上げ (そうしあげ) |
完成直前の最後の仕上げ |
3 | 入眼・ (じゅがん) |
新しい仏像、仏画に目を入れて魂を迎え入れること |
4 | 物事の肝 (ものごとのきも) |
物事の大切なこと |
5 | 締めくくり (しめくくり) |
物事を上手くまとめる |
6 | 仕上げ (しあげ) |
できあがらせること、できばえ |
7 | 追い込み (おいこみ) |
仕事などの最終段階で、全力を出して頑張ること |
8 | 要 (かなめ) |
物事の最も大切な部分 |
9 | 肝心 (かんじん) |
最も重要なこと |
10 | 肝要 (かんよう) |
非常に大切なこと |
11 | 有終の美 (ゆうしゅうのび) |
物事を最後までやり通し、立派に仕上げること |
12 | 有終完美 (ゆうしゅうかんび) |
最後まで立派にやり遂げること |
「画竜点睛を欠く」6つの類義語
「画竜点睛を欠く」の類義語には、「不備」「不足」などがあります。
「画竜点睛を欠く」6つの類義語< |
||
1 | 不備 (ふび) |
備えが不十分なこと |
2 | 不足 (ふそく) |
足りないこと、十分でないこと |
3 | 未完 (みかん) |
完成していないこと |
4 | 半端 (はんぱ) |
不完全なこと |
5 | 仏作って魂入れず (ほとけつくってたましいいれず) |
物事が完成したのに、肝心な部分が抜け落ちていること |
6 | 九仞の功を一簣に虧く (きゅうじんのこうをいっきにかく) |
長い間努力してきた事が、最後に少し手を抜いたために完成しないこと |
【画竜点睛】の対義語(蛇足)

【画竜点睛】の対義語は「蛇足」です。
「蛇足」の意味 |
余計なもの、必要ない無駄なもの |
「蛇足」も故事成語で、戦国時代の書物「戦国策」に書かれている故事に由来しています。

【蛇足】意味・由来の故事の書き下し文と現代語訳/例文・使い方も解説 |
【画竜点睛】「画竜点睛を欠く」の英語表現

【画竜点睛】2つの英語表現
【画竜点睛】の英語表現は、「finishing touch」「It’s incomplete.」です。
【画竜点睛】2つの英語表現 | ||
1 | the finishing touch [stroke] | |
最後の一筆 | ||
2 | It’s incomplete. | |
不完全 |
I forgot to add the finishing touches. |
最後の仕上げをするのを忘れていた。 |
「画竜点睛を欠く」2つの英語表現
「画竜点睛を欠く」の英語表現は、次のようになります。
「画竜点睛を欠く」の英語表現 | ||
1 | lack the finishing touches | |
不足している | ||
2 | forgot to dot the i’s but cross the t’s | |
iの上の点を書き忘れてtの横線にした→肝心なところが抜けている |
【画竜点睛】2つの中国語表現

【画竜点睛】の中国語表現は、「画龙点睛」「画龙点睛之处」です。
【画竜点睛】2つの中国語表現 | ||
1 | 画龙点睛 | |
仕上げをする | ||
2 | 画龙点睛之处 | |
最後の仕上げ |
ポケモンの技の一種【画竜点睛/ガリョウテンセイ】

ポケモン(ポケットモンスター)は、ゲームソフトが原作のテレビアニメです。
ポケモンの技の一種に「ガリョウテンセイ」があります。
「ガリョウテンセイ」は、「レックウザ」という、何億年もオゾン層の中で生き続けているポケモンだけが使える技です。
天に向かって蛇行しながら一気に上昇した後、急降下して攻撃するという、かなりの威力のある技です。
日本酒【画竜点睛】
「瀧鯉/画竜点睛」は、兵庫県産の酒造好適米「山田錦」を45%まで磨き上げ、じっくり醸して製造された日本酒です。
お米の旨味と、華やかでフルーティーな香りで爽やかな味わいです。