

知りたい項目をクリックして下さい。
①由来・語源/あらすじ |
②意味・2つの読み方 |
③例文・使い方 |
④類語・同じ意味のことわざ |
⑤漢文の現代語訳・書き下し文 |
⑥英語表現 |
⑦中国語表現 |
【五十歩百歩】の由来・語源 |
儒教の思想家・孟子(もうし)が古代中国の恵王(けいおう)を痛烈に批判したことに由来。 戦場から50歩逃げた者も100歩逃げた者も、どちらも臆病者であることに変わりはないという例え話が、「孟子」の「梁(りょう)の恵王・上」に書かれている。 |

【五十歩百歩】の意味 |
少しの違いはあっても、本質的には同じであること |

【五十歩百歩】2つの読み方 |
①ごじっぽひゃっぽ ②ごじゅっぽひゃっぽ |

【五十歩百歩 】7つの類語・同じ意味のことわざ | |
大同小異 | 団栗の背比べ |
目糞鼻糞を笑う | 似たり寄ったり |
一寸法師の背比べ | 猿の尻笑い |
五十歩をもって百歩を笑う |

【五十歩百歩】4つの英語表現 | |
six of one and half a dozen of the other | little difference |
nearly the same | much of a muchness |

【五十歩百歩】の中国語表現 |
五十步笑百步 |


【五十歩百歩】由来の痛烈な中国王批判とは
由来・語源
- ❶【五十歩百歩】由来の痛烈な中国王批判とは
- ❷あらすじ
- ❸「孟子」とは

【五十歩百歩】由来の痛烈な中国王批判とは
【五十歩百歩】は、孟子(もうし)が古代中国王を痛烈に批判したことに由来します。
戦国時代の、梁(りょう)国の恵王(けいおう)は、孟子に、自分はなぜ隣国の人々に慕われないのかを問いました。
「孟子」の「梁の恵王・上」には、次のような例え話が書かれています。
原文・白文 | 或百歩而後止、或五十歩而後止。 以五十歩笑百歩、則何如。 |
書き下し文 | 或いは百歩にして後に止まり、或いは五十歩にして後に止まる。 五十歩を以て百歩を笑はば、則ち何如 |
現代語訳 | 一方は百歩で立ち止まり、もう一方は五十歩で立ち止まりました。 五十歩逃げた者が百歩逃げた者をおくびょうだと言って笑ったならば、どうでしょうか。 |
戦争中に50歩逃げた者も、100歩逃げた者も同じ臆病者である。
つまり、恵王の政治も隣国の政治も大して差はないので、隣国の人々に慕われないということです。
ここから「五十歩百歩」という言葉が使われるようになりました。
【五十歩百歩】のあらすじ
中国戦国時代、梁国に恵王という王がいました。
恵王は戦争が好きだったため、国を強くするために孟子に相談をしました。
当時の中国では、善政をすれば他国から人民が移り住んで人口が増え、戦力が増えることで国が強くなると考えられていました。

50歩逃げた者が100歩逃げた者を臆病者と笑ったらどうでしょうか。



孟子からすると、恵王の政治も、となりの国の政治も、大して差はありません。
五十歩百歩で、どの国の政治も似たり寄ったりなのです。
「孟子(もうし)」とは
「孟子」は、中国戦国時代の儒教の思想家・哲学者である孟子が弟子と共にまとめた逸話集です。
新儒学の正典のひとつとされています。
故事成語【五十歩百歩】意味と2つの読み方
意味・読み方
- ❶意味
- ❷2つの読み方

意味
【五十歩百歩】とは、どちらも同じ様なものである事のたとえです。
【五十歩百歩】の意味 |
・少しの違いはあっても、本質的には同じであること ・似たり寄ったり |
2つの読み方
【五十歩百歩】には、2つの読み方があります。
【五十歩百歩】の読み方 |
①ごじっぽひゃっぽ ②ごじゅっぽひゃっぽ |
本来の読み方は「①ごじっぽひゃっぽ」です。
現在は「②ごじゅっぽひゃっぽ」と読むことがありますが、間違いではありません。
【五十歩百歩】例文・使い方
例文・使い方
- ❶例文
- ❷使い方

例文
例文1 | サハラ砂漠とゴビ砂漠、どちらも砂漠であり、私にとっては五十歩百歩だ。 |
例文2 | 各国にはそれぞれの国独特の文化があり、お互い様で五十歩百歩だ。 |
例文3 | 体重80kgの友人がダイエットで75kgになったと喜んでいたが、見た目の差は感じられず、どちらも五十歩百歩だ。 |
使い方
「五十歩百歩」は、「どちらも立派」という良い意味では使われません。
「どちらもダメ、イマイチ」という悪い意味で使われます。




【五十歩百歩】7つの類語・同じ意味のことわざ
類語・同じ意味のことわざ
大同小異 | 団栗の背比べ |
目糞鼻糞を笑う | 似たり寄ったり |
一寸法師の背比べ | 猿の尻笑い |
五十歩をもって百歩を笑う |

その1(大同小異・だいどうしょうい)
「大同小異」とは、大体同じだけど少し違うという意味です。
「大同小異」の意味 |
大体は同じだが、細かい点が異なること |
「大同」は、大体同じであること、「小異」はごくわずかな違いという意味です。
その2(団栗の背比べ・どんぐりのせくらべ)
「団栗の背比べ」は、どれも平凡で変わり映えしないという意味です。
「団栗の背比べ」の意味 |
どれも似たり寄ったりで、特に優れて目立つものがないこと |
優れたものではなく、平均やそれ以下が集まったときに使います。
その3(目糞鼻糞を笑う・めくそはなくそをわらう)
「目糞鼻糞を笑う」は、自分の欠点に気づかず、他人の欠点を笑うという意味です。
「目糞鼻糞を笑う」の意味 |
自分の欠点には気がつかないで、他人のことをあざ笑うたとえ |
その4(似たり寄ったり)
「似たり寄ったり」は、大した違いがないという意味です。
「似たり寄ったり」の意味 |
よく似ていて、大した違いがないこと |
その5(一寸法師の背比べ・いっすんぼうしのせいくらべ)
「一寸法師の背比べ」は、どれも平凡で抜きんでた者がいないという意味です。
「一寸法師の背比べ」の意味 |
どれも平凡で抜きんでた者がいないこと |
見下すような状況で使われる、ネガティブな表現です。
その6(猿の尻笑い・さるのしりわらい)
「猿の尻笑い」は、自分の欠点に気づかず、相手の欠点をバカにして笑うという意味です。
「猿の尻笑い」の意味 |
自分の欠点に気づかず、相手の欠点をバカにして笑う |
猿が自分のお尻が赤いことに気づかず、他のお尻を笑うことに由来する言葉です。
その7(五十歩をもって百歩を笑う・ごじっぽをもってひゃっぽをわらう)
「五十歩をもって百歩を笑う」は、本質的には違いはないという意味です。
「五十歩をもって百歩を笑う」の意味 |
・少しの違いはあるが、本質的には大した違いはない ・どちらも大したことはない |
【五十歩百歩】漢文の書き下し文・現代語訳

孟子の返答
原文・白文 | 孟子対曰、 |
書き下し文 | 孟子対(こた)へていはく |
現代語訳 | 孟子はこうこたえました |
原文・白文 | 「王好戦。請以戦喩。 |
書き下し文 | 「王戦ひを好む。請(こ)ふ戦ひを以つて喩へん。 |
現代語訳 | 王様は戦争がお好きです。戦争に例えさせて下さい。 |
原文・白文 | 填然、鼓之、兵刃既接。 |
書き下し文 | 填然(てんぜん)として、これに鼓( こ)し、兵刃(へいじん)既に接す。 |
現代語訳 | ドンドンと太鼓が鳴り、武器はぶつかり合っています。 |
原文・白文 | 棄甲曳兵而走。 |
書き下し文 | 甲(こう)を棄て兵をひきて走る。 |
現代語訳 | よろいを脱ぎ捨てて、武器を引きずって逃げた者がいました。 |
原文・白文 | 或百歩而後止、或五十歩而後止。 |
書き下し文 | あるいは百歩にして後止まり、あるいは五十歩にして後止まる。 |
現代語訳 | ある者は百歩逃げて立ち止まり、ある者は五十歩逃げて立ち止まりました。 |
原文・白文 | 以五十歩笑百歩、則何如。」 |
書き下し文 | 五十歩をもって百歩を笑はば、すなわちいかん」と。 |
現代語訳 | 五十歩逃げた者が百歩逃げた者を臆病だと言って笑ったならば、どうでしょうか。」 |
恵王の返答
原文・白文 | 恵王曰、 |
書き下し文 | 恵王(けいおう)曰はく、 |
現代語訳 | 恵王は言いました。 |
原文・白文 | 「不可。直不百歩耳。是亦走也。」 |
書き下し文 | 「不可なり。直だ百歩ならざるのみ。是れもまた走るなり。」と。 |
現代語訳 | 「それはダメだ。ただ百歩でないというだけで、逃げたことには変わりない。」 |
【五十歩百歩】4つの英語表現
英語表現
six of one and half a dozen of the other | little difference |
nearly the same | much of a muchness |

その1(six of one and half a dozen of the other)
「six of one and half a dozen of the other」で「五十歩百歩」を表現できます。
「dozen」は「1ダース(12)」という意味なので、「half a dozen」は「6」です。
「一方の6と、もう一方の半ダース」と訳されます。
「6=半ダース」と、どちらも同じ6なので、「大差がない、似たり寄ったり」という意味で使われます。
その2(little difference)
「little difference」でも「五十歩百歩」を表現できます。
英語 | 日本語 |
little | 少し |
slight | わずか |
difference | 違い |
「少しの違い」→「大した違いはない」という意味で使われます。
「little」の代わりに「わずか」という意味の「slight」を使っても同じ様な表現になります。
その3(nearly the same)
「nearly the same」でも「五十歩百歩」を表現できます。
英語 | 日本語 |
nearly | ほぼ・ほとんど |
same | 同じ |
「ほぼ同じ」→「大した違いはない」という意味で使われます。
その4(much of a muchness)
「much of a muchness」でも「五十歩百歩」を表現することができます。
英語 | 日本語 |
much | 多くの |
muchness | 量や大きさ、程度が大きいこと |
「much of a muchness」は主にイギリスで使われる形式ばった表現です。
【五十歩百歩】の中国語表現

中国語では、「五十歩百歩」を「五十步笑百步」と表現します。
【五十歩百歩】の中国語 |
五十步笑百步(wǔshí bù xiào bǎi bù) |