
【皮肉】の意味 |
①遠回しに意地悪く相手を非難すること ②予想とは違う残念な結果になること ③うわべだけ、表面だけのこと ④皮と肉、からだ |
【皮肉】の語源・由来 |
仏教用語「皮肉骨髄(ひにくこつずい)」 |
【皮肉】の3つの類語 | ||
風刺 | 辛辣な言葉 | 嫌味 |

【皮肉】の意味とは/わかりやすく解説
「皮肉」とは、このような意味です。
①予想とは違う残念な結果になること ②遠回しに意地悪く相手を非難すること ③うわべだけ、表面だけのこと ④皮と肉、からだ |
あまりいい意味で使われる言葉ではありません。
【皮肉】の語源は仏教の「皮肉骨髄(ひにくこつずい)」に由来している
語源は仏教の「皮肉骨髄」に由来
「皮肉」の語源は、仏教の「皮肉骨髄(ひにくこつずい)」という言葉です。
中国禅宗の僧侶・達磨大師(だるまだいじ)が弟子の修行を評価したエピソードに由来しています。
「皮肉骨髄」とは
「皮肉骨髄」とは、達磨大師が弟子の修行を評価した4つの言葉のことです。
①我が皮を得たり ②我が肉を得たり ③我が骨を得たり ④我が髄を得たり |
「皮→肉→骨→髄」の順で、本質の理解度を意味しています。
「骨・髄」は、本質を理解している。
「皮・肉」は表面にあることから、「表面的な浅い理解」という非難の言葉です。
「達磨大師(だるまだいし)」とは「だるま」のモデルだった
達磨大師はインド人の僧侶で、中国禅宗の開祖と言われています。
南インドの南天竺国の第三王子として生まれ、出家して僧侶となりました。
40年間修行した後にインド・中国に禅宗を広め、150歳で亡くなったと伝えられています。
日本の禅宗にも大きな影響を与えている、偉大な僧侶。
日本でお馴染みの、縁起物の置物である「だるま」のモデルとなった人物です。
だるまに手足がないのは、達磨大師が9年間座禅を組んでいた為に、手足が腐ってしまったからだそうです。
「皮肉骨髄」のエピソードとは
達磨大師が弟子の修行を評価したエピソードです。
卒業試験の質問
達磨大師には、慧可、道育、尼総持、道副という4人の弟子がいました。
ある日、達磨大師は4人の弟子たちに、修行の卒業試験のような質問をしました。
「修行で得た仏教の本質は何か」と。
4人弟子たちは、次のように返答しました。
弟子たちの返答
4人の弟子たちは、このように返答しました。
道副 | 文字にとらわれず、また文字をはなれないで、仏道を行じることです |
尼総持 | 全てに執着することのない心です |
道育 | この世の中には、何一つとして、つかみ取ることができるものはありません |
慧可 | ただ黙って達磨に一礼 |
達磨大師の下した合否とは
達磨大師は、4人の弟子に対してこのように言いました。
道副に対して | あなたには、私の皮まで伝わっているようだ。合格。 |
尼総持に対して | あなたには、私の肉まで伝わっているようだ。合格。 |
道育に対して | あなたには、私の骨まで伝わっているようだ。合格。 |
慧可に対して | あなたには、私の髄まで伝わっているようだ。合格。 |
道育と慧可は、骨・髄まで得ることができました。
しかし、道副と尼総持は、皮・肉までしか得ることができませんでした。
【皮肉】という言葉の誕生
「皮・肉・骨・髄」はこのような意味を持っています。
皮・肉 | 表面的な浅い理解 |
骨・髄 | 本質の理解 |
道副と尼総持は、「皮・肉」までしか得ることができませんでした。
このことから、「皮・肉」が批判の言葉として残り、欠点を非難の言葉として使われるようになりました。
また、「皮相の見(物事の表面だけを見る浅はかな見解)」という言葉も使われるようになったようです。
【皮肉】の例文・使い方
例文・使い方 その1(欠点やミスなどを非難するとき)
「皮肉」は、相手の欠点やミスなどを遠回しに非難するときに使われます。
例文1 | 仕事でミスをしてしまい、上司に皮肉を言われてしまった |
例文2 | 付き合いで帰宅が遅くなり、妻に皮肉を言われた |
例文・使い方 その2(予想とは違う残念な結果になった時)
「皮肉」は、予想とは違う残念な結果になった時に使われます。
例文1 | 皮肉にも、想定外の結果となってしまった |
例文2 | 皮肉ながら、期待した結果は得られなかった |
例文3 | 試行錯誤を繰り返したが、皮肉にも新商品の発売は中止となってしまった |
【皮肉】の英語フレーズ・例文
その1(ironic)
「ironic」は「皮肉を・皮肉な」という意味の単語です。
That is ironic |
それは皮肉なことです |
その2(irony)
「irony」は「皮肉・皮肉な結果」という意味の単語です。
「ironic」より面白おかしく、ジョークっぽい表現になります。
She will perceive your irony |
彼女はあなたの皮肉がわかるだろう |
その3(sarcasm)
「sarcasm」は「皮肉・嫌味」という意味の単語です。
相手を非難したり、傷つけるときに使われる、ネガティブな表現です。
He is too ready with sarcasm |
彼はすぐに皮肉を言いすぎる |
その4(thank you)
「thank you」は「ありがとう」と感謝を伝える言葉です。
一般的にはポジティブな言葉ですが、「ありがた迷惑」の意味で使われることがあります。
Thank you for your kind |
thank you for your help |
thank you a lot |
これらの表現は、嫌味でも使われるフレーズです。
その5(funny)
「funny」は「面白い」という意味の単語です。
嫌味で、話がつまらない時にも使われます。
「very funny」と使われることが多いです。
その6(are you okay?)
「are you okay?」は「大丈夫?」という意味です。
言い方やシチュエーションによっては「頭おかしいんじゃない?」と嫌味になります。
その7(great)
「great」は「素晴らしい」という意味の単語です。
全く素晴らしいと思っていないときに大袈裟に使うと、逆に嫌なニュアンスの表現になってしまいます。
その8(you know)
「know」は「知っている」という意味の単語です。
「you know」で「知ってると思うけど」の意味なのですが、嫌味で使われることがあります。
相手が知らない前提で「you know」を使うと、「こんなことも知らないの?」と嫌味になることがあります。
【皮肉】の類語・類義語
その1(風刺・ふうし)
「風刺」とは、このような意味です。
遠回しに欠点などを批判すること |
その2(辛辣な言葉・しんらつなことば)
「辛辣な言葉」とは、このような意味です。
批判などで、言い方や言葉がキツイ様子 |
その3(嫌味)
「嫌味」とは、このような意味です。
人に不快感を与える、言葉や態度 |
「皮肉」は遠回しに相手を批判しますが、「嫌味」は相手を直接批判するニュアンスです。
「皮肉屋」の意味・読み方
「皮肉」という二字熟語を使った言葉に「皮肉屋」があります。
「皮肉屋」で「ひにくや」と読みます。
意味はこのようになります。
よく嫌味を言う人 |
【皮肉】の反対語(世辞・せじ)
「世辞」とはこのような意味です。
相手の機嫌を取るために言う、心にない言葉 |
「心にもないお世辞を言う」のように使われます。
【皮肉】のフランス語表現(ironie)
フランス語で「皮肉」を意味する単語は「ironie」です。
Elle percevra son ironie |
彼女は彼の皮肉がわかるだろう |