
【かたじけない】
- ❶6つの語源・由来
- ❷漢字表記
- ❸返事の返し方
- ❹使い方・例文
【かたじけない】の語源の最有力説 |
難し気無し(かたしけなし)説 語源は、江戸時代の有職故実書「貞丈雑記(ていじょうざっき)」に書かれている「難し気無し(かたしけなし)」という言葉に由来 |

【かたじけない】の漢字表記 |
「辱い/辱ない」「忝い/忝ない」 |
【かたじけない】に対する返事の返し方 | |||
とんでもない | お気になさらず | お役に立てて嬉しい | 滅相もない |

6つある!【かたじけない】の語源・由来とは

【かたじけない】の語源・由来
- ❶難し気無し説
- ❷勝たじ気甚し説
- ❸難んずる気なし説
- ❹廉気なし説
- ❺偏無審説
- ❻容貌が醜い説
「かたじけない」の語源は6つの説がありますが、定説はありません。
「かたじけない」は「かたじけなし」の口語形です。
その1(難し気無し説)
「かたじけなし」は「有難し(ありがたし)」の「難し(がたし)」が変化したものです。
「有難し(ありがたし)」は「ありがとう」という言葉の語源と言われています。
「ありがとう」の語源である「有難し(ありがたし)」の一部が変化したものなので、「かたじけなし」には「ありがとう」という意味があります。
「難し気無し(かたしけなし)」という言葉が、江戸時代に書かれた「貞丈雑記(ていじょうざっき)」という有職故実書に載っています。
この「難し気無し」が転じたという説です。
よろしければご覧下さい。
【ありがとう/有難う】語源・由来と元々の意味とは/類語・反対語も解説 |

その2(勝たじ気甚し説)
「かたじけなし」は「勝たじ気甚し(かたじけなし)」が変化したものという説です。
「勝たじ気甚し(かたじけなし)」という言葉が、昭和初期の国語辞書「大言海(だいげんかい)」に載っています。
大言海には「勝たじ気甚し」が転じたものと書かれているようです。
その3(難んずる気なし説)
「かたじけなし」は「難んずる気なし(かたんずるけなし)」が変化したものという説です。
「難んずる気なし(かたんずるけなし)」という言葉が、江戸時代中期の国語辞書「和訓栞(わくんのしおり)」に載っています。
和訓栞には「難んずる気なし」が転じたものと書かれているようです。
その4(廉気なし説)
「かたじけなし」は「廉気なし(かどしきけなし)」が変化したものという説です。
「廉気なし(かどしきけなし)」という言葉が、江戸時代後期の国学辞書「言元梯(げんげんてい)」に載っています。
言元梯には「廉気なし」が転じたものと書かれているようです。
その5(偏無審説)
「かたじけなし」は「偏無審(かたしけなし)」が変化したものという説です。
「偏無審(かたしけなし)」という言葉が、江戸時代後期に菅泰翁纂がまとめた「紫門和語類集(しもんわごるいしゅう)」に載っています。
紫門和語類集には「偏無審」が転じたものと書かれているようです。
その6(容貌が醜い説)
「容貌が醜い」という意味が転じて、みっともない・恥ずかしい→恐れ多いとなったという説です。
仏教注釈書である「新訳華厳経音義私記」に、次のような記述があります。
醜陋下猥也。謂容貌猥悪也。猥可多自気奈之 |
「猥」に対して、万葉仮名で「可多自気奈之(かたじけない)」と読み方が当てられています。
【かたじけない】の漢字表記

漢字表記
「かたじけない」の漢字表記は、このようになります。
「かたじけない」の漢字表記 |
「辱い/辱ない」「忝い/忝ない」 |
ありがたく恐縮する気持ちを表すために、これらの漢字が使われています。
一般的には漢字で表記することはほとんどなく、平仮名で表記されます。
「忝」の意味とは
「忝い/忝ない」の「忝」とは、このような意味です。
「忝」の意味 |
恥ずかしい |
「辱」の意味とは
「辱い/辱ない」の「辱」とは、このような意味です。
「辱」の意味 |
もったいない、畏れ多い |
【かたじけない】に対する返事の返し方

【かたじけない】に対する返事・返し方
- ❶感謝:とんでもない
- ❷謝罪:お気になさらず
- ❸感謝:お役に立てて嬉しい
- ❹恐縮・謝罪:滅相もない
その1(感謝:とんでもない)
相手から「かたじけない」と感謝の気持ちを伝えられた時は「とんでもない」で返すことができます。
・とんでもないです ・とんでもないことです ・とんでもございません |


その2(謝罪:お気になさらず)
相手から「かたじけない」と申し訳ない気持ちを伝えられた時は「お気になさらず」と返すことができます。


その3(感謝:お役に立てて嬉しい)
相手から「かたじけない」と感謝の気持ちを伝えられた時は「お役に立てて嬉しい」で返すことができます。
・お役に立てて嬉しいです ・お役に立てたのであれば嬉しいです |


その4(恐縮・謝罪:滅相もない)
相手から「かたじけない」と恐縮や申し訳ないの気持ちを伝えられた時は「滅相もない」で返すことができます。
・滅相もないことです ・滅相もございません |


【かたじけない】の使い方・例文

「かたじけない」は、相手に感謝・謝罪・恐縮する気持ちを伝える時に使うことができます。
例文1 | 私の分までお土産をいただき、かたじけなく存じます。 |
例文2 | 私どものミスでイベントが延期となってしまい、大変かたじけなく思います。 |
例文3 | 先日はご配慮いいただき、かたじけなく存じます。 |