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①意味 |
②読み方 |
③由来・語源 |
④使い方・例文 |
⑤故事の現代語訳・書き下し文 |
⑥英語表現 |
⑦【杞憂】と由来が同じ四字熟語(杞人憂天・きじんゆうてん) |
⑧類語・類義語 |
⑨反対語 |
【杞憂】の意味 |
・心配しなくてもいい事を心配すること ・取り越し苦労 |

【杞憂】の読み方 |
きゆう |

【杞憂】の由来 |
「列子」に書かれている、杞の国の人にまつわる故事 杞の国に「天地が崩壊してしまうのではないか」と無駄に憂い、夜も眠れず食事も取れなくなってしまった人がいたというエピソードに由来する |

【杞憂】の英語表現 | |
absurd fear | needless anxiety |
groundless fears | chill out |
Don’t worry |

【杞憂】と由来が同じ四字熟語 |
杞人憂天(きじんゆうてん) |

【杞憂】の類語・類義語 | |
取り越し苦労 | 悲観 |
懸念 | 危惧 |

【杞憂】の反対語 | |
楽観 | 呑気 |

【杞憂】の意味とは
【杞憂】の意味とは
【杞憂】とは、このような意味です。
・心配しなくてもいい事を心配すること ・取り越し苦労 |
「杞」の意味とは
「杞」とは、このような意味です。
中国の殷代から戦国時代にかけて存在した国の1つ |
中国の歴史書「史記」での記述も非常に少ない小国だったようです。
現在の河省杞県にあった国です。
「憂」の意味とは
「憂」とは、このような意味です。
・心配する ・心を痛める |
【杞憂】の読み方とは
「杞憂」は「きゆう」と読みます。
「きう」と読まれることがありますが、間違いです。
「杞憂」は読み方が難しく、難読漢字の1つとなっています。
【杞憂】の由来・語源は「列子」に書かれている故事
由来・語源は「列子」に書かれている故事
「杞憂」は、中国の思想書「列子」に書かれている故事に由来しています。
「列子」の「天瑞篇」に書かれている、「心配症な杞の国の人」にまつわるエピソードです。
杞の国には、「天地が崩壊してしまうのではないか」と考える心配症の人がいました。
この様子を見かねた人が「心配することはない」と言って聞かせると、心配症の人も納得。
両者とも心が軽くなり、安心して喜んだそうです。
「列子(れっし)」とは
「列子」とは、中国・戦国時代の思想家・列禦寇(れつぎょこう)の著書です。
8編から成る道家の思想書で、故事・寓言・神話が多く記されています。
別名「沖虚真経 (ちゅうきょしんけい)」と呼ばれ、道教の教典としても知られています。
「列子」は「列禦寇」の尊称でもあります。
【杞憂】の使い方・例文
その1(希望を込めて使う「杞憂であってほしい」「杞憂であれば」)
心配な事が、不要な心配であってほしいと願ったり、希望を込めて言う時に使われます。
例文1 | 嫌な予感がするが、杞憂であってほしい。 |
例文2 | 杞憂であればいいのだが、体調が悪いのではないだろうか。 |
その2(問題なく終わった時に使う「杞憂に終わる」「杞憂だった」)
心配していたが、結果的に問題なく終わった時に使われます。
例文1 | 納品が間に合うか心配していたが、杞憂に終わった。 |
例文2 | イベントが無事に終わった。当初の心配は杞憂だった。 |
その3(余計・不要な時に使う「杞憂かもしれませんが」「杞憂に過ぎない」)
不要な心配、余計なお世話というニュアンスで使われます。
例文1 | 杞憂かもしれないが、彼女は体調が悪いのではないだろうか。 |
例文2 | あなたの心配は、杞憂に過ぎないでしょう。 |
【杞憂】故事の現代語訳・書き下し文
心配症の人と諭す人
原文・白文 | 杞国、有人憂天地崩墜、身亡所寄、廃寝食者 |
書き下し文 | 杞の国に、人の天地の崩墜して、身寄する所亡きを憂え、寝食を廃する者有り |
現代語訳 | 杞の国の人で、いつか天地が崩れて身の置き所がなくなるのを心配し、寝ることも、食べることもできなくなった者がいました |
原文・白文 | 又有憂彼之所憂者。 |
書き下し文 | 又、彼の憂うる所を憂うる者有り |
現代語訳 | また、その人が心配するのを心配する人がいました |
天について
原文・白文 | 因往曉之曰、天積氣耳、亡處亡氣。 |
書き下し文 | 因って往きて之を暁して曰く、天は積気のみ、処として気亡きは亡し。 |
現代語訳 | そこで出かけて行って、彼に言い聞かせました。「天は大気が積み重なったものです。大気のない所はありません。 |
原文・白文 | 若屈伸呼吸、終日在天中行止。 |
書き下し文 | 屈伸呼吸の若きは、終日天中に在りて行止す、 |
現代語訳 | 体を曲げたり伸ばしたり、息を吸ったり吐いたり、一日中、天の中で行ったり止めたりしています。 |
原文・白文 | 奈何憂崩墜乎。 |
書き下し文 | 奈何ぞ崩墜を憂えんや、と。 |
現代語訳 | どうして天が崩れ落ちるなんて心配する必要があるのですか。」と。 |
原文・白文 | 其人曰、天果積氣、日月星宿不當墜耶。 |
書き下し文 | 其の人曰く、天果たして積気ならば、日月星宿は当に墜つべからざるか、と。 |
現代語訳 | その人が言う事には、「天が大気の積み重なったものだといても、太陽や月や星は落ちてくるのではないですか。」と |
原文・白文 | 曉之者曰、日月星宿亦積氣中之有光耀者。 |
書き下し文 | 之を暁す者曰く、日月星宿も亦積気中の光耀有ある者なり。 |
現代語訳 | 諭しに来た人は言いました。「太陽や月や星座もまた大気の中で光り輝いているものです。 |
原文・白文 | 只使墜、亦不能有所中傷。 |
書き下し文 | 只使い墜つとも、亦中傷する所有る能わず、と。 |
現代語訳 | たとえ落ちてきたとしても、それが当たって怪我をすることはありえません。」と。 |
地について
原文・白文 | 其人曰、奈地壊何。 |
書き下し文 | 其の人曰く、地の壊るるを奈何せん、と。 |
現代語訳 | その人が言いました、「大地が崩れたらどうしたらいいのでしょうか。」と。 |
原文・白文 | 充塞四虚、亡處亡塊。 |
書き下し文 | 四虚に充塞し、処として塊亡きは亡し。 |
現代語訳 | 土は四方に満ちていて、土のないところはありません。 |
原文・白文 | 若躇歩跐蹈、終日在地上行止。 |
書き下し文 | 躇歩跐蹈の若きは、終日地上に在りて行止す。 |
現代語訳 | 歩いたらい地に足をつけるような事は、一日中、行なったり止めたりしています。 |
原文・白文 | 奈何憂其壞。 |
書き下し文 | 奈何ぞ其の壊るるを憂えんや、と。 |
現代語訳 | どうして大地が崩れる事を心配する必要があるのでしょうか。」と。 |
心が晴れ喜ぶ両者
原文・白文 | 其人舎然大喜、暁之者亦舎然大喜。 |
書き下し文 | 其の人舎然として大いに喜び、之を暁す者も亦舎然として大いに喜ぶ。 |
現代語訳 | その人は心が晴れて喜びました。諭しに来た人も安心して喜びました。 |
【杞憂】の英語表現
その1(absurd fear)
「absurd fear」で「杞憂」と表現する事ができます。
英語 | 日本語 |
absurd | 不条理・滑稽・馬鹿げている |
fear | 心配・不安・恐れ |
その2(needless anxiety)
「needless anxiety」で「杞憂」と表現する事ができます。
英語 | 日本語 |
needless | 不必要な |
anxiety | 心配・不安・懸念 |
その3(groundless fears)
「groundless fears」で「杞憂」と表現する事ができます。
英語 | 日本語 |
groundless | 根拠のない・事実無根 |
fear | 心配・不安・恐れ |
その4(chill out)
「chill out」は「落ち着いて」という意味です。
「杞憂」の、ストレートでシンプルな英語表現です。
その5(Don’t worry)
「Don’t worry」は「心配しないで」という意味です。
「chill out」同様、ストレートでシンプルな英語表現です。
【杞憂】と由来が同じ四字熟語(杞人憂天・きじんゆうてん)
「杞憂」と由来が同じ「杞人憂天」という四字熟語があります。
読み方は「きじんゆうてん」です。
「杞憂」は「杞人憂天」が略された言葉です。
【杞憂】の類語・類義語
その1(取り越し苦労・とりこしぐろう)
「取り越し苦労」とは、このような意味です。
どうなるかわからない将来のことを考え、無駄な心配をすること |
無駄で、しなくてもいい心配の意味が共通しています。
その2(悲観・ひかん)
「悲観」とは、このような意味です。
・物事が思うように進まずに失望すること ・世の中や人生が、苦しみや悪ばかりだと考えること |
将来のことをマイナスに考え、不安になるところが共通しています。
その3(懸念・けねん)
「懸念」とは、このような意味です。
・気になって不安になること ・心配 |
これから先に起こるかもしれない問題に対して、不安に思うときに使われます。
その4(危惧・きぐ)
「危惧」とは、このような意味です。
悪い結果になるのではないかと心配すること。恐れること。 |
これから起こりそうな悪いことを予想して、心配するときに使われます。
【杞憂】の反対語
その1(楽観・らっかん)
「楽観」とは、このような意味です。
・物事をいい方に考え心配しないこと ・世の中や人生が、良いものだと考えること |
「現状を楽観する」などのように使われます。
その2(呑気・のんき)
「呑気」とは、このような意味です。
・性格や気分がのんびりしていること ・無頓着なこと |
心配する事がなく、のんびりと気楽な意味合いなので、「杞憂」とは反対です。