【杞憂】意味・使い方・例文/由来の故事の現代語訳・書き下し文も解説

ハルちゃん
ハルちゃん
この記事では【杞憂】の次のことについてお伝えします。
知りたい項目をクリックして下さい。

意味
読み方
由来・語源
使い方・例文
故事の現代語訳・書き下し文
英語表現
【杞憂】と由来が同じ四字熟語(杞人憂天・きじんゆうてん)
類語・類義語
反対語

 

【杞憂】の意味
・心配しなくてもいい事を心配すること
・取り越し苦労
意味のより詳しい情報はこちらをクリックして下さい。
みーちゃん
みーちゃん
 

【杞憂】の読み方
きゆう
ハルちゃん
ハルちゃん
読み方のより詳しい情報はこちらをクリックして下さい。
 

【杞憂】の由来
「列子」に書かれている、杞の国の人にまつわる故事
の国に「天地が崩壊してしまうのではないか」と無駄にい、夜も眠れず食事も取れなくなってしまった人がいたというエピソードに由来する
由来のより詳しい情報はこちらをクリックして下さい。
みーちゃん
みーちゃん
 

【杞憂】の英語表現
absurd fear needless anxiety
groundless fears chill out
Don’t worry
ハルちゃん
ハルちゃん
英語表現のより詳しい情報はこちらをクリックして下さい。
 

【杞憂】と由来が同じ四字熟語
杞人憂天(きじんゆうてん)
由来が同じ四字熟語のより詳しい情報はこちらをクリックして下さい。
みーちゃん
みーちゃん
 

【杞憂】の類語・類義語
取り越し苦労 悲観
懸念 危惧
ハルちゃん
ハルちゃん
類語・類義語のより詳しい情報はこちらをクリックして下さい。
 

【杞憂】の反対語
楽観 呑気
反対語のより詳しい情報はこちらをクリックして下さい。
みーちゃん
みーちゃん



【杞憂】の意味とは

【杞憂】の意味とは

 
【杞憂】とは、このような意味です。

・心配しなくてもいい事を心配すること
・取り越し苦労

 

「杞」の意味とは

 
「杞」とは、このような意味です。

中国の殷代から戦国時代にかけて存在した国の1つ

中国の歴史書「史記」での記述も非常に少ない小国だったようです。
 
現在の河省杞県にあった国です。
  

「憂」の意味とは

 
「憂」とは、このような意味です。

・心配する
・心を痛める

  

【杞憂】の読み方とは

「杞憂」は「きゆう」と読みます。
  
「きう」と読まれることがありますが、間違いです。
  
「杞憂」は読み方が難しく、難読漢字の1つとなっています。



【杞憂】の由来・語源は「列子」に書かれている故事

由来・語源は「列子」に書かれている故事

 
「杞憂」は、中国の思想書「列子」に書かれている故事に由来しています。
  
「列子」の「天瑞篇」に書かれている、「心配症な杞の国の人」にまつわるエピソードです。
  
杞の国には、「天地が崩壊してしまうのではないか」と考える心配症の人がいました。
  
この様子を見かねた人が「心配することはない」と言って聞かせると、心配症の人も納得。
  
両者とも心が軽くなり、安心して喜んだそうです。
  

「列子(れっし)」とは

 
「列子」とは、中国・戦国時代の思想家・列禦寇(れつぎょこう)の著書です。
  
8編から成る道家の思想書で、故事・寓言・神話が多く記されています。
  
別名「沖虚真経 (ちゅうきょしんけい)」と呼ばれ、道教の教典としても知られています。
  
「列子」は「列禦寇」の尊称でもあります。
  

【杞憂】の使い方・例文

その1(希望を込めて使う「杞憂であってほしい」「杞憂であれば」)

 
心配な事が、不要な心配であってほしいと願ったり、希望を込めて言う時に使われます。

例文1 嫌な予感がするが、杞憂であってほしい。
例文2 杞憂であればいいのだが、体調が悪いのではないだろうか。

 

その2(問題なく終わった時に使う「杞憂に終わる」「杞憂だった」)

 
心配していたが、結果的に問題なく終わった時に使われます。

例文1 納品が間に合うか心配していたが、杞憂に終わった。
例文2 イベントが無事に終わった。当初の心配は杞憂だった。

 

その3(余計・不要な時に使う「杞憂かもしれませんが」「杞憂に過ぎない」)

 
不要な心配、余計なお世話というニュアンスで使われます。

例文1 杞憂かもしれないが、彼女は体調が悪いのではないだろうか。
例文2 あなたの心配は、杞憂に過ぎないでしょう。



【杞憂】故事の現代語訳・書き下し文

心配症の人と諭す人

 

原文・白文 杞国、有人憂天地崩墜、身亡所寄、廃寝食者
書き下し文 杞の国に、人の天地の崩墜して、身寄する所亡きを憂え、寝食を廃する者有り
現代語訳 杞の国の人で、いつか天地が崩れて身の置き所がなくなるのを心配し、寝ることも、食べることもできなくなった者がいました

 

原文・白文 又有憂彼之所憂者。
書き下し文 又、彼の憂うる所を憂うる者有り
現代語訳 また、その人が心配するのを心配する人がいました

 

天について

 

原文・白文 因往曉之曰、天積氣耳、亡處亡氣。
書き下し文 因って往きて之を暁して曰く、天は積気のみ、処として気亡きは亡し。
現代語訳 そこで出かけて行って、彼に言い聞かせました。「天は大気が積み重なったものです。大気のない所はありません。

 

原文・白文 若屈伸呼吸、終日在天中行止。
書き下し文 屈伸呼吸の若きは、終日天中に在りて行止す、
現代語訳 体を曲げたり伸ばしたり、息を吸ったり吐いたり、一日中、天の中で行ったり止めたりしています。

 

原文・白文 奈何憂崩墜乎。
書き下し文 奈何ぞ崩墜を憂えんや、と。
現代語訳 どうして天が崩れ落ちるなんて心配する必要があるのですか。」と。

 

原文・白文 其人曰、天果積氣、日月星宿不當墜耶。
書き下し文 其の人曰く、天果たして積気ならば、日月星宿は当に墜つべからざるか、と。
現代語訳 その人が言う事には、「天が大気の積み重なったものだといても、太陽や月や星は落ちてくるのではないですか。」と

 

原文・白文 曉之者曰、日月星宿亦積氣中之有光耀者。
書き下し文 之を暁す者曰く、日月星宿も亦積気中の光耀有ある者なり。
現代語訳 諭しに来た人は言いました。「太陽や月や星座もまた大気の中で光り輝いているものです。

 

原文・白文 只使墜、亦不能有所中傷。
書き下し文 只使い墜つとも、亦中傷する所有る能わず、と。
現代語訳 たとえ落ちてきたとしても、それが当たって怪我をすることはありえません。」と。

 

地について

 

原文・白文 其人曰、奈地壊何。
書き下し文 其の人曰く、地の壊るるを奈何せん、と。
現代語訳 その人が言いました、「大地が崩れたらどうしたらいいのでしょうか。」と。

 

原文・白文 充塞四虚、亡處亡塊。
書き下し文 四虚に充塞し、処として塊亡きは亡し。
現代語訳 土は四方に満ちていて、土のないところはありません。

 

原文・白文 若躇歩跐蹈、終日在地上行止。
書き下し文 躇歩跐蹈の若きは、終日地上に在りて行止す。
現代語訳 歩いたらい地に足をつけるような事は、一日中、行なったり止めたりしています。

 

原文・白文 奈何憂其壞。
書き下し文 奈何ぞ其の壊るるを憂えんや、と。
現代語訳 どうして大地が崩れる事を心配する必要があるのでしょうか。」と。

 

心が晴れ喜ぶ両者

 

原文・白文 其人舎然大喜、暁之者亦舎然大喜。
書き下し文 其の人舎然として大いに喜び、之を暁す者も亦舎然として大いに喜ぶ。
現代語訳 その人は心が晴れて喜びました。諭しに来た人も安心して喜びました。

 

【杞憂】の英語表現

その1(absurd fear)

 
「absurd fear」で「杞憂」と表現する事ができます。

英語 日本語
absurd 不条理・滑稽・馬鹿げている
fear 心配・不安・恐れ

 

その2(needless anxiety)

 
「needless anxiety」で「杞憂」と表現する事ができます。

英語 日本語
needless 不必要な
anxiety 心配・不安・懸念

 

その3(groundless fears)

 
「groundless fears」で「杞憂」と表現する事ができます。

英語 日本語
groundless 根拠のない・事実無根
fear 心配・不安・恐れ

 

その4(chill out)

 
「chill out」は「落ち着いて」という意味です。
  
「杞憂」の、ストレートでシンプルな英語表現です。
  

その5(Don’t worry)

 
「Don’t worry」は「心配しないで」という意味です。
  
「chill out」同様、ストレートでシンプルな英語表現です。



【杞憂】と由来が同じ四字熟語(杞人憂天・きじんゆうてん)

「杞憂」と由来が同じ「杞人憂天」という四字熟語があります。
  
読み方は「きじんゆうてん」です。
  
「杞憂」は「杞人憂天」が略された言葉です。
  

【杞憂】の類語・類義語

その1(取り越し苦労・とりこしぐろう)

 
「取り越し苦労」とは、このような意味です。

どうなるかわからない将来のことを考え、無駄な心配をすること

無駄で、しなくてもいい心配の意味が共通しています。
 

その2(悲観・ひかん)

 
「悲観」とは、このような意味です。

・物事が思うように進まずに失望すること
・世の中や人生が、苦しみや悪ばかりだと考えること

将来のことをマイナスに考え、不安になるところが共通しています。
 

その3(懸念・けねん)

 
「懸念」とは、このような意味です。

・気になって不安になること
・心配

これから先に起こるかもしれない問題に対して、不安に思うときに使われます。
  

その4(危惧・きぐ)

 
「危惧」とは、このような意味です。

悪い結果になるのではないかと心配すること。恐れること。

これから起こりそうな悪いことを予想して、心配するときに使われます。
  

【杞憂】の反対語

その1(楽観・らっかん)

 
「楽観」とは、このような意味です。

・物事をいい方に考え心配しないこと
・世の中や人生が、良いものだと考えること

「現状を楽観する」などのように使われます。
  

その2(呑気・のんき)

 
「呑気」とは、このような意味です。

・性格や気分がのんびりしていること
・無頓着なこと

心配する事がなく、のんびりと気楽な意味合いなので、「杞憂」とは反対です。




Follow me!

PAGE TOP