【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の由来・語源 |
「後漢書」の故事に書かれている武将の言葉 戦いで窮地に陥った時に、武将が兵士を鼓舞するために言った言葉「虎穴に入らずんば虎子を得ず(不入虎穴不得虎子)」に由来 |
【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の意味 |
危険を避けていては、大きな成功は得られない |
【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の読み方 |
こけつにいらずんばこじをえず |
【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の反対の意味の10のことわざ・対義語 | |
命あっての物種 | 命を知る者は巌牆の下に立たず |
石橋を叩いて渡る | 棚から牡丹餅 |
開いた口へ団子 | 開いた口へ牡丹餅 |
危ない事は怪我のうち | 君子危うきに近寄らず |
賢人は危きを見ず | 聖人は危きに寄らず |
【虎穴に入らずんば虎子を得ず】と同じ意味の四字熟語 |
虎穴虎子 |
【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の5つの英語表現 | |
Nothing venture, nothing gained. | The more danger, the more honour. |
No pain, no gain. | Great profits, great risks. |
no risk, no reward. |
【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の4つの類語・類義語 | |
危ない所に登らねば熟柿は食えぬ | 危ない橋も一度は渡れ |
枝先に行かねば熟柿は食えぬ | 風険投資 |
【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の中国語表現 | |
焉得虎子 | 不入虎穴 |

- 1 【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の由来・語源
- 2 【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の意味・読み方
- 3 【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の使い方・例文
- 4 【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の漢文の現代語訳
- 5 【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の反対の意味のことわざ・対義語
- 5.1 その1(命あっての物種・いのちあってのものだね)
- 5.2 その2(命を知る者は巌牆の下に立たず・めいをしるものはがんしょうのもとにたたず)
- 5.3 その3(石橋を叩いて渡る・いしばしをたたいてわたる)
- 5.4 その4(棚から牡丹餅・たなからぼたもち)
- 5.5 その5(開いた口へ団子・あいたくちへもち)
- 5.6 その6(開いた口へ牡丹餅・あいたくちへぼたもち)
- 5.7 その7(危ない事は怪我のうち・あぶないことはけがのうち)
- 5.8 その8(君子危うきに近寄らず・くんしあやうきにちかよらず)
- 5.9 その9(賢人は危きを見ず・けんじんはあやうきをみず)
- 5.10 その10(聖人は危きに寄らず・せいじんはあやうきにちかよらず)
- 6 【虎穴に入らずんば虎子を得ず】と同じ意味の四字熟語(虎穴虎子・こけつこし)
- 7 【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の英語表現
- 8 【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の類義語・類語
- 9 【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の中国語表現
【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の由来・語源

由来・語源
- ❶由来は中国故事に書かれている武将の言葉
- ❷「後漢書(ごかんじょ)」とは
- ❸「班超(はんちょう)」とは
由来は中国故事に書かれている武将の言葉
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」は中国故事に書かれている武将の言葉に由来します。
「後漢書」の「班超伝」には、後漢時代(AD73年頃)の漢国と匈奴国の戦いに関するエピソードが書かれています。
漢国の武将・班超(はんちょう)は西域国へ派遣されました。
最初は歓迎されていた班超ですが、漢国の敵国である匈奴国の使者がやってくると、急に冷たくされてしまいます。
このままでは自分たちが危ない。
西域国は匈奴国へつくと察した班長は、匈奴国に夜襲をかけ、見事に勝利を収めました。
このとき班長は「危険覚悟で行動すれば、大きな手柄を立てられる」という意味で「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と兵士に言葉をかけました。
「後漢書(ごかんじょ)」とは
「後漢書」は、中国の後漢時代のことが書かれている歴史書です。
正史の一つで、本紀10巻・列伝80巻・志30巻の全120巻からなります。
本紀10巻・列伝80巻は南朝宋の范曄(はんよう)、志30巻は晋の司馬彪(しばひょう)がまとめたものです。
「班超(はんちょう)」とは
班超は中国の後漢時代の武将です。
歴史家の家に生まれ、「後漢書」の著者である「班固(はんこ)」を兄に持ちます。
西域(せいいき)支配で活躍し、西域都護として長く西域を守りました。
後漢の勢力を広げた人物です。
【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の意味・読み方

意味・読み方
- ❶【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の意味
- ❷「虎穴(こけつ)」の意味
- ❸「虎子(こし)」の意味
- ❹読み方
【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の意味
【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の意味は、このようになります。
【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の意味 |
危険を避けていては、大きな成功は得られない |
「虎穴(こけつ)」の意味
「虎穴」の意味は、このようになります。
「虎穴」の意味 |
・虎の住んでいる洞窟 ・危険な場所のたとえ |
「虎子(こし)」の意味
「虎子」の意味は、このようになります。
「虎子」の意味 |
虎の子 |
【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の読み方
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の読み方は「こけつにいらずんばこじをえず」です。
「虎子」を「こし」と読んだり、「虎子」は「虎児」と書くことがありますが、間違いではありません。
「入らずんば」を「はいらずんば」と読むのは間違いです。
【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の使い方・例文

使い方・例文
- ❶使い方
- ❷例文
使い方
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」は、成功するために、困難な状況を乗り越えなければいけないときに使われます。




例文
例文1 | 虎穴に入らずんば虎子を得ずというように、挑戦してみないとわからない。 |
例文2 | 困難な状況だが、虎穴に入らずんば虎子を得ずだ。なんとか乗り越えよう。 |
例文3 | 虎穴に入らずんば虎子を得ずというが、逃げてばかりでは何も得ることができない。 |
【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の漢文の現代語訳

原文・白文 | 超曰、「不入虎穴,不得虎子。 |
書き下し文 | 超曰く、「虎穴に入らずんば、虎子を得ず。 |
現代語訳 | 班超が言うには、「虎の巣穴に入らなければ、虎の子は得られない(危険を冒さなければ、成功することはない)。 |
原文・白文 | 當今之計、獨有因夜以火攻虜、 |
書き下し文 | 当今の計、独だ夜に因りて火を以て虜を攻むること有るのみ、 |
現代語訳 | 現在の計略としては、夜に匈奴の使者の宿営を火攻めにすることだけだ。 |
原文・白文 | 使彼不知我多少,必大震怖,可殄盡也。 |
書き下し文 | 彼をして我が多少なるを知らぜしむれば、必ず大いに震怖し、殄盡(てんじん)すべし。 |
現代語訳 | 使者にこちらの人数が少ないのを知られなければ、必ず恐怖に駆られ、殲滅することができる。 |
原文・白文 | 滅此虜,則鄯善破膽,功成事立矣。」 |
書き下し文 | 此の虜を滅すれば、即ち鄯善破膽し、功成り事立たん。」 |
現代語訳 | この使者を滅ぼせば、匈奴は恐れおののき、我らは功績を挙げられるだろう。」 |
【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の反対の意味のことわざ・対義語

反対の意味の10のことわざ・対義語
命あっての物種 | 命を知る者は巌牆の下に立たず |
石橋を叩いて渡る | 棚から牡丹餅 |
開いた口へ団子 | 開いた口へ牡丹餅 |
危ない事は怪我のうち | 君子危うきに近寄らず |
賢人は危きを見ず | 聖人は危きに寄らず |
その1(命あっての物種・いのちあってのものだね)
「命あっての物種」とは、このような意味です。
「命あっての物種」の意味 |
何事も命があってできることであり、死んでしまえば何にもならない |
何よりも命が大切だという、戒めのことわざです。
その2(命を知る者は巌牆の下に立たず・めいをしるものはがんしょうのもとにたたず)
「命を知る者は巌牆の下に立たず」とは、このような意味です。
「命を知る者は巌牆の下に立たず」の意味 |
天命を理解している者は、自分を危険にさらすようなことはしない |
不注意から自分を危険にさらし、自分のやるべきことを果たせなくなることを戒める言葉です。
その3(石橋を叩いて渡る・いしばしをたたいてわたる)
「石橋を叩いて渡る」とは、このような意味です。
「石橋を叩いて渡る」の意味 |
用心に用心を重ねて、慎重に物事を行うこと |
「石橋を叩いて渡れ」「石の橋も叩いて渡れ」という事もあります。
慎重すぎる人に対しては、皮肉をこめて使う場合もあります。
その4(棚から牡丹餅・たなからぼたもち)
「棚から牡丹餅」とは、このような意味です。
「棚から牡丹餅」の意味 |
思いがけない幸運を得ること |
略して「棚ぼた(たなぼた)」という事があります。
その5(開いた口へ団子・あいたくちへもち)
「開いた口へ団子」とは、このような意味です。
「開いた口へ団子」の意味 |
努力もしないのに、思いがけない幸運がやってくること |
その6(開いた口へ牡丹餅・あいたくちへぼたもち)
「開いた口へ牡丹餅」とは、このような意味です。
「開いた口へ牡丹餅」の意味 |
努力もしないのに、思いがけない幸運がやってくること |
「開いた口へ団子」と同じ意味です。
その7(危ない事は怪我のうち・あぶないことはけがのうち)
「危ない事は怪我のうち」とは、このような意味です。
「危ない事は怪我のうち」の意味 |
危ないことには、はじめから近寄らないほうがいいということ |
その8(君子危うきに近寄らず・くんしあやうきにちかよらず)
「君子危うきに近寄らず」とは、このような意味です。
「君子危うきに近寄らず」の意味 |
教養や徳がある人は自分の行動を慎むので、危険なことはしない |
「君子」は地位の高い人の意味で、賢いだけでなく、徳がある人のことです。
その9(賢人は危きを見ず・けんじんはあやうきをみず)
「賢人は危きを見ず」とは、このような意味です。
「賢人は危きを見ず」の意味 |
賢い人は、危険なものには最初から近づかない |
道路を横断するときは、遠くても信号のある横断歩道で渡るなど。
危険なことはしないということです。
その10(聖人は危きに寄らず・せいじんはあやうきにちかよらず)
「聖人は危きに寄らず」とは、このような意味です。
「聖人は危きに寄らず」の意味 |
聖人は自分の行動を慎むので、危険なことはしない |
「君子危うきに近寄らず」と同じ意味です。
【虎穴に入らずんば虎子を得ず】と同じ意味の四字熟語(虎穴虎子・こけつこし)

「虎穴虎子」とは、このような意味です。
「虎穴虎子」の意味 |
危険を避けていては、大きな成功は得られない |
「虎穴こけつに入いらずんば虎子こしを得えず」を略した言葉です。
【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の英語表現

5つの英語表現
Nothing venture, nothing gained. | The more danger, the more honour. |
No pain, no gain. | Great profits, great risks. |
no risk, no reward. |
その1(Nothing venture, nothing gained.)
「Nothing venture, nothing gained.」を直訳すると「何の冒険もしなければ、何も得られない」です。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の英語表現として使うことができます。
英語 | 日本語 |
venture | 冒険・思い切ってやる・敢行する |
gain | 獲得する |
「gained」を「have」にしても、同じように使うことができます。
その2(The more danger, the more honour.)
「The more denger, the more honour.」を直訳すると「危険が大きくなるほど名誉も大きくなる」です。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の英語表現として使うことができます。
英語 | 日本語 |
danger | 危険 |
honour | 名誉 |
その3(No pain, no gain.)
「No pain, no gain.」を直訳すると「痛みなくして得るものなし」です。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の英語表現として使うことができます。
英語 | 日本語 |
pain | 痛み |
honour | 得る・利益・潤う |
その4(Great profits, great risks.)
「Great profits, great risks.」を直訳すると「大きい利益を上げるには大きいリスクがある」です。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の英語表現として使うことができます。
英語 | 日本語 |
profit | 利益 |
risk | 危険 |
その5(no risk, no reward)
「no risk, no reward.」を直訳すると「危険失くして、報酬も得られない」です。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の英語表現として使うことができます。
英語 | 日本語 |
profit | 報いる・応える・報酬・賞金 |
risk | 危険 |
【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の類義語・類語

4つの類義語・類語
危ない所に登らねば熟柿は食えぬ | 危ない橋も一度は渡れ |
枝先に行かねば熟柿は食えぬ | 風険投資 |
その1(危ない所に登らねば熟柿は食えぬ)
「危ない所に登らねば熟柿は食えぬ」とは、このような意味です。
「危ない所に登らねば熟柿は食えぬ」の意味 |
危険を恐れていては、利益や思い通りの結果は得られない |
いい結果を得ようと思ったら、危険を恐れてはいけないということです。
その2(危ない橋も一度は渡れ)
「危ない橋も一度は渡れ」とは、このような意味です。
「危ない橋も一度は渡れ」の意味 |
安全策ばかりとっていても、成功することはできない |
時には危険を冒して行動することも大切だということです。
その3(枝先に行かねば熟柿は食えぬ)
「枝先に行かねば熟柿は食えぬ」とは、このような意味です。
「枝先に行かねば熟柿は食えぬ」の意味 |
危険を恐れていては、利益や思い通りの結果は得られない |
いい結果を得ようと思ったら、危険を恐れてはいけないということです。
その4(風険投資・ふうけんとうし)
「風険投資」とは、このような意味です。
「風険投資」の意味 |
危険を覚悟した投資 |
「風険」とは、「これから起こるかもしれない危険」のことです。
【虎穴に入らずんば虎子を得ず】の中国語表現

中国語表現
焉得虎子 | 不入虎穴 |
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の中国語表現はこのようになります。
焉得虎子(yān dé hǔzǐ) |
不入虎穴(bú rù hǔxué) |
意味は日本語と同じで、「危険を避けていては、大きな成功は得られない」です。