「新約聖書」の「使徒行伝(しとぎょうでん)」第9章(サウロの回心)に書かれている盲目サウロのエピソードです。
「使徒行伝」の18節には次の一文があります。
【目から鱗】の語源の一文 |
直ちに彼の目より鱗のごときもの落ちて見ることを得 |
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【目から鱗】2つの意味 | |
現在の意味 | 今までわからなかったことが、急に理解できるようになる |
元々の意味 | 誤りを悟り迷いから覚める |
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【目から鱗】8つの言い換え表現・類語 | |
ハッとする | 目が開かれる |
悟る | 開眼する |
頓悟 | 腑に落ちる |
思わず膝を打つ | インスパイアされる |

【目から鱗】6つの英語表現 | |
1 | the scales fall from one’s eyes |
2 | eye opener |
3 | eye-opnening |
4 | to see the light |
5 | to be awakened to the truth |
6 | given a start |

【目から鱗】2つの中国語表現 | |
茅塞顿开 | 豁然开朗 |

【目から鱗(目から鱗が落ちる)】語源は意外にも聖書に由来
語源・由来
- ❶語源は意外にも聖書に由来
- ❷盲目サウロのエピソード/わかりやすく解説
- ❸「新約聖書」とは
- ❸シリアの首都「ダマスカス」の場所

語源は意外にも聖書に由来
【目から鱗】の語源は、意外にも聖書に由来します。
「新約聖書」の「使徒行伝(しとぎょうでん)」第9章(サウロの回心)の18節に書かれている次の一文です。
【目から鱗】の語源の一文 |
直ちに彼の目より鱗のごときもの落ちて見ることを得 |
これは、1世紀にキリスト教徒を迫害していた盲目のサウロというユダヤ教徒が、キリストの力で視力を取り戻すエピソードの中の一文です。
盲目サウロのエピソード/わかりやすく解説
ユダヤ教徒のサウロは、キリスト教徒を迫害していました。
サウロは逃げるキリスト教徒を追ってダマスコ(シリアの首都ダマスカス)に向かっている時、突然強い光を浴びて失明してしまいます。
この時「なぜ私を迫害するのか?」というキリストの声が聞こえたといいます。
ダマスコに着きパウロが祈っていると、キリストの使い(アナニア)が目を治しにやってくるというお告げがありました。
その後使いのアナニアがやってきて、サウロの目に手を当てて祈ると、サウロの目からは鱗のようなものが落ち、目が元通り見えるようになったそうです。
このことがきっかけで、サウロはパウロに改名し、キリスト教に帰依しました。
このことから、「誤りを悟り迷いから覚める」という意味で【目から鱗】が使われるようになりました。
それが転じて現在では、「今までわからなかったことが、急に理解できるようになる」という意味で使われています。
「新約聖書」とは
「新約聖書」とは、キリスト教徒によって、1世紀〜2世紀に書かれた書物です。
「旧約聖書」と同じくキリスト教の正典で、福音書・使徒行伝・書簡・黙示文学の27の文書からなります。
イエス・キリストの誕生前のことは「旧約聖書」に、誕生後のことは「新約聖書」にまとめられています。
シリアの首都「ダマスカス」の場所
シリアの首都「ダマスカス」は、カシオン山の麓にある古代都市です。
アダムとイヴで有名なエデンの園(聖書に登場する理想郷)のモデルとされる場所もダマスカスにあります。
「ダマスカス」は、「ダマスクス」とも表記されることもあります
語源が聖書に由来する11の言葉・ことわざ
日本文化は中国から輸入されたものが多いので、ことわざなども、中国の古典に由来するものが多いです。
ですが、聖書に由来する言葉も意外に多いです。
聖書に由来する言葉・ことわざには次のようなものがあります。
聖書に由来する11の言葉・ことわざ | ||
1 | 狭き門 (せまきもん) |
競争が激しく合格するのが難しいこと |
2 | 豚に真珠 (ぶたにしんじゅ) |
価値のわからない者には、貴重な物も無意味であること |
3 | 働かざる者食うべからず (はたらかざるものくうべからず) |
食べるためには真面目に働かなければいけないこと |
4 | 目には目を、歯には歯を (めにはめを、はにははを) |
自分が受けた被害と同程度の仕打ちをすること |
5 | 砂上の楼閣 (さじょうのろうかく) |
見かけは立派だが、基礎がもろいために崩れやすいこと |
6 | 七転び八起き (ななころびはちおき) |
何度失敗してもめげずに諦めないこと |
7 | 笛吹けども踊らず (ふえふけどもおどらず) |
しっかりと準備をして誘っても人が動かないこと |
8 | ジャイアント・キリング | 明らかに格上の相手に勝つこと(大番狂わせ) (ダビデとゴリアテの話が由来) |
9 | ミレニアム | 千年間、千年紀 |
10 | タレント | 才能がある人 (タラントの話が由来) |
11 | 鳩は平和の象徴 (はとはへいわのしょうちょう) |
鳩が平和の象徴とされるのは、ノアの方舟のエピソードが由来 |
幕府によってキリスト教が禁じられた時期もありましたが、貿易により西洋の文化や思想がもたらされました。
そして、徐々に聖書の知識や聖書に由来することわざも一般に知られるようになりました。
【目から鱗】2つの意味をわかりやすく解説
意味
- ❶現在の意味
- ❷元々の意味

現在の意味
【目から鱗】の現在の意味は「今までわからなかったことが、急に理解できるようになる」です。
【目から鱗】の現在の意味 |
今までわからなかったことが、急に理解できるようになる |
元々の意味
【目から鱗】の元々の意味は「誤りを悟り迷いから覚める」です。
【目から鱗】の元々の意味 |
誤りを悟り迷いから覚める |
【目から鱗】例文・使い方
使い方・例文
- ❶例文
- ❷使い方

例文
【目から鱗】の例文は次のようになります。
例文1 | 先輩から言われたあの一言は、私にとっては目が鱗落ちる思いだった。 |
例文2 | イギリスに留学して様々な国の人と交流して、目から鱗が落ちた。 |
例文3 | 新しい先生の授業がとても面白く目から鱗が落ちて、勉強が好きになった。 |
例文4 | やり手のAさんの仕事に同行させてもらい、目から鱗が落ちるような気づきがあった。 |
例文5 | 彼女のアドバイスは心に刺さる一言で、目から鱗が落ちるほど気持ちが楽になった。 |
使い方
【目から鱗】は、知識を得たり経験を通して、急に理解ができたときに使われる言葉です。
ポジティブな言葉なので、様々な場面で使われます。




【目から鱗】と同じ意味のことわざ(目から鱗が落ちる)

【目から鱗】と同じ意味のことわざは「目から鱗が落ちる」です。
【目から鱗】と同じ意味のことわざ |
・目から鱗が落ちる ・目からウロコ |
【目から鱗】は、「目から鱗が落ちる」を省略した言葉です。
「鱗」をひらがなで「目からウロコ」と書くことがありますが、これも同じ意味です。
「目から鱗が取れる」と使われることがありますが、間違いです。
【目から鱗】8つの言い換え表現・類語

【目から鱗】言い換え表現・類語は「ハッとする」などです。
【目から鱗】8つの言い換え表現・類語 | ||
1 | ハッとする | 急に思いつく、驚く、急に我に返る |
2 | 目が開かれる (めがひらかれる) |
知識を得たり、新境地を知ること |
3 | 悟る (さとる) |
真実を知ってはっきりと理解する |
4 | 開眼する (かいげんする) |
・物事の真理や本質がはっきりとわかること ・物事のこつをつかむこと |
5 | 頓悟 (とんご) |
段階的な修行を踏むことなく,一挙に悟りを開くこと |
6 | 腑に落ちる (ふにおちる) |
納得がいく、合点がいく |
7 | 思わず膝を打つ (おもわずひざをうつ) |
感心したり、納得したりすること |
8 | インスパイアされる | 他人から影響や刺激を受けること |
【目から鱗】6つの英語表現

【目から鱗】の英語表現は「eye opener」などです。
【目から鱗】6つの英語表現 | ||
1 | the scales fall from one’s eyes | |
目から鱗が落ちる(聖書に書かれている一文) | ||
2 | eye opener | |
目を開かせる | ||
3 | eye-opnening | |
目を見張るような | ||
4 | to see the light | |
目から鱗が落ちる | ||
5 | to be awakened to the truth | |
真実に目覚める | ||
6 | given a start | |
ハッとさせられる |
【目から鱗】2つの中国語表現

【目から鱗】の中国語表現は「茅塞顿开」などです。
【目から鱗】2つの中国語表現 | ||
1 | 茅塞顿开 (máo sè dùn kāi) |
突然理解する |
2 | 豁然开朗 (Huòrán kāilǎng) |
急に視界が開ける |