

【矛盾(むじゅん)】の意味 |
前後が食い違い、つじつまが合わないこと |
【矛盾(むじゅん)】の由来・語源 |
「韓非子(かんぴし)」の盾の矛の物語 |
【矛盾(むじゅん)】の11の類語・類義語 |
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撞着 | 自己撞着・自己矛盾 | 矛盾撞着 |
背反 | 食い違う | ずれ |
齟齬 | 行き違い | 相反する |
ギャップ | ジレンマ |
【矛盾(むじゅん)】の4つの英語表現 | |||
contradiction | inconsistent | 否定 + make sense | conflict |

【矛盾】の意味とは/簡単に解説
【矛盾】の意味とは/簡単に解説
【矛盾】とは、このような意味です。
前後が食い違い、つじつまが合わないこと |
【矛盾】の読み方
「矛盾」は「むじゅん」と読みます。
訓読みで「ほこたて」と読まれることがありますが、間違いです。
【矛盾】の由来・語源は故事
由来・語源は「韓非子(かんぴし)」に書かれている故事
「矛盾」は、中国の戦国時代の書物「韓非子」に書かれている故事に由来しています。
「韓非子」の「難一」に書かれている、「盾と矛」にまつわるエピソードです。
「韓非子(かんぴし)」とは
「韓非子」とは、韓非(かんぴ)によって書かれた、中国戦国時代の思想書です。
法治主義が政治の基礎であると説いたもので、全20巻、55編からなります。
「孤憤篇(こふん)」「五蠹篇(ごと)」の二編は始皇帝を感激させた書物と言われています。
始皇帝は、韓非に会えたら死んでもいいとまで言っていたようです。
「韓非(かんぴ)」とは
「韓非」とは、中国戦国時代の思想家・政治家です。
法治主義を説いた「法家」の代表的な人物で、「韓非子(かんぴし)」と呼ばれることもあったようです。
【矛盾】の由来・語源となった故事の物語の内容
矛(ほこ)と盾(たて)とは
矛(ほこ)と盾(たて)とは、このような意味です。
矛(ほこ・む) | 両刃で長い柄のある昔の兵器 |
盾(たて・じゅん) | 矢や石を防ぐための厚い板状のもの |
矛(ほこ)は「鉾・戈」と、盾(たて)は「楯」と書かれることもあります。
盾と矛を売る商人
楚の国に、盾と矛を売る商人がいました。
商人は、売り物の盾と矛をこのように褒めました。
・私の盾はとても堅いので、突き破るものはありません ・私の矛はとても鋭いので、どんなものでも突き通すことができます |
お客さんの言葉
商人の言葉を聞いたお客さんの一人が、このように言いました。
その矛でその盾を突いたらどうなるのですか? |
このお客さんの言葉に、商人は答えることができませんでした。
まとめ
「どんなものでも突き破れない盾」と「どんなものも突き通す矛」
この場合、どちらかが本当であれば、どちらかが嘘になってしまいます。
この「盾と矛」のエピソードから、つじつまが合わない意味で「矛盾」が使われるようになりました。
【矛盾】の現代語訳・書き下し文
盾を褒める商人
楚人に盾と矛とを鬻ぐ者有り |
楚の国の人で盾と矛とを売る者がいました |
これを誉めて曰はく、 |
この人が、これを誉めて言いました |
「吾が盾の堅きこと、能く陥すなきなり。」と、 |
「私の盾は頑丈なので、突き破るものはありません」と |
盾と矛を売る商人
また、その矛を誉めて曰はく |
また、矛を誉めて言いました |
「吾が矛の利きこと、物に於いて陥さざる無きなり。」と。 |
「私の矛は鋭いので、どんなものでも突き通すことができます」と |
お客さんの言葉
ある人曰く |
ある人は言いました |
「子の矛をもって、子の楯を陥さばいかん」と。 |
「あなたの矛でその盾を突き通したらどうなるのですか」と |
その人応ふること能はざるなり。 |
その人は答えることができませんでした |
【矛盾】の例文・使い方
「矛盾」は、つじつまが合わないときに加えて、日常のちょっとした食い違いでも使うことができます。
また、数学などで何かを証明するときにも使われます。
例文1 | 彼は、言っていることとやっていることが矛盾している |
例文2 | 彼女はダイエットするといいながら、毎日スイーツを食べている。矛盾している。 |
例文3 | この書類は日付が間違っているので、内容が矛盾している |
【矛盾】の類語・類義語
その1(撞着・どうちゃく)
「撞着」の意味はこのようになります。
「撞着」の意味 |
・つじつまが合わないこと ・突き当たること、ぶつかること |
前後の話のつじつまが合わないことを「前後の話が撞着する」といいます。
その2(自己撞着・じこどうちゃく)(自己矛盾・じこむじゅん)
「自己撞着」「自己矛盾」の意味はほぼ同じです。
意味はこのようになります。
「自己撞着」「自己矛盾」の意味 |
同じ人の言動や文章が、前後で食い違いつじつまが合わないこと |
自分で自分の言動に反することをしてしまうことです。
「撞着」は「どうちゃく」「とうちゃく」の二通りの読み方があります。
「着」は「著」と書かれることもあります。
その3(矛盾撞着・むじゅんどうちゃく)
「矛盾撞着」の意味はこのようになります。
「矛盾撞着」の意味 |
つじつまが合わないこと |
「矛盾撞着」と「矛盾」はほぼ同じ意味ですが、「矛盾撞着」の方が、矛盾を強めたニュアンスです。
その4(背反・はいはん)
「背反」の意味はこのようになります。
「背反」の意味 |
・食い違うこと ・相いれないこと ・従うべきものに背くこと |
「背反」には「食い違う」という意味があり、「矛盾」と共通しています。
その5(食い違う・くいちがう)
「食い違う」の意味はこのようになります。
「食い違う」意味 |
一致することが望ましい物事がかみ合わないこと |
「矛盾」には「かみ合わない」という意味もあり、似た言葉となります。
その6(ずれ)
「ずれ」の意味はこのようになります。
「ずれ」意味 |
基準となるものからはずれて、うまく一致しないこと |
「矛盾」の「食い違う・かみ合わない」は一致しないという意味が含まれます。
「ずれ」は似た言葉となります。
その7(齟齬・そご)
「齟齬」の意味はこのようになります。
「齟齬」意味 |
物事や意見がかみ合わなかったり、食い違ったりすることで、物事が思うように進まないこと |
「齟齬」の「食い違う・かみ合わない」の意味が、「矛盾」と共通しています。
その8(行き違い・いきちがい)
「行き違い」の意味はこのようになります。
「行き違い」意味 |
・すれ違いになって出会えなくなってしまうこと ・意志が上手く通じず食い違ってしまうこと |
「行き違い」には「食い違う」の意味が含まれ、「矛盾」と共通しています。
その9(相反する・あいはんする)
「相反する」の意味はこのようになります。
「相反する」意味 |
互いに一致しない、矛盾する |
その10(ギャップ)
「ギャップ」は日常でよく使われるカタカナ語で、英語の「gap」が語源です。
意味は以下のようになります。
「ギャップ」意味 |
隙間・間隔・ずれ・相違・差異・食い違い |
「ギャップ」には「食い違う」「ずれ」の意味が含まれ、「矛盾」と共通しています。
その11(ジレンマ)
「ジレンマ」も日常で使われるカタカナ語で、英語の「dilemma」が語源です。
意味は以下のようになります。
「ジレンマ」の意味 |
二つの相反する事柄の板挟みになること |
「板挟み」とは、二つの事柄がかみ合わず、一致しないために起こってしまうことです。
「矛盾」の「食い違う」「かみ合わない」と意味が似ています。
【矛盾】の英語表現
その1(contradiction)
「contradiction」は「矛盾・反対・否定」の意味の単語です。
That’s contradiction |
それは矛盾しています |
その2(inconsistent)
「inconsistent」は「矛盾している・一貫性がない・不一致」の意味の単語です。
That’s inconsistent |
それは矛盾しています |
その3(否定 + make sense)
「make sense」の意味は「理にかなっている・意味がわかる」です。
これを否定することで、「矛盾」の意味で使う事ができます。
日常会話でもよく使われる、フランクな表現です。
That doesn’t make sense |
それはつじつまが合ってないよ。矛盾してるよ。 |
その4(conflict)
「conflict」は「衝突・対立・矛盾・戦い」の意味の単語です。
Our opinions conflict |
私たちの意見は一致しません。矛盾しています。 |
【矛盾】の対義語・反対語
その1(無矛盾・むむじゅん)
「無矛盾」の意味はこのようになります。
「無矛盾」意味 |
・矛盾を含まないこと ・つじつまが合う |
その2(整合)
「整合」の意味はこのようになります。
「整合」意味 |
・きちんと合うこと ・ずれや矛盾がないこと |
その3(両立)
「両立」の意味はこのようになります。
「両立」意味 |
二つの物事が同時に両立すること |