

【二足のわらじ(草鞋)】の由来・語源 |
江戸時代の博打の取り締まり 博打を取り締まるために、博打打ちと博打を取り締まる役を同じ人が兼ねていた事に由来 |
【二足のわらじ(草鞋)】の意味 |
・両立が難しい二つの仕事を同じ人が兼ねること ・一人で異なる業種の仕事を掛け持ちすること |
【二足のわらじ】の6つの類語 | ||
兼業 | 副業 | 二刀流 |
二兎を追う者は一兎をも得ず | 虻蜂とらず | 掛け持ち |
二足のわらじ】の6つの英語表現 | |
wear two hats | Don’t have too many irons in the fire |
be engaged in two trades at the same time | have one’s fingers in two pies play icon |
double-jobbing | Sideline |
【二足のわらじ】の由来・語源は江戸時代の博打打ち
由来は江戸時代の博打打ち
「二足のわらじ」は、江戸時代の博打打ちに由来しています。
江戸時代は博打が大流行していたため、幕府は「博打打ち」を使って取り締まりを行っていました。
これは現在で言う「潜入捜査」で、「犯罪者のふりをした警察官」が犯罪者を取り締まることです。
現在は、「警察官が麻薬などを取り締まるためにマフィアに潜入する」というようなことがあります。
江戸時代は、博打を取り締まるために、役人や軽犯罪を犯した者が役人に頼まれて、博打打ちとなって賭場に潜入していました。
このことから、「業種の異なる二つの仕事を兼ねる」ことを「二足の草鞋を履く」というようになりました。
潜入捜査の映画
「土竜の唄」は、警察官がヤクザに潜入捜査するというストーリーの映画です。
現在、潜入捜査を行えるのは、警察の職につく公務員に限られています。
江戸時代は、軽犯罪を犯した者でも、役人に頼まれれば潜入捜査をすることがありました。
異なる点はありますが、昔と同じような方法で現在も捜査が行われています。
【二足のわらじ(草鞋)】の意味
【二足のわらじ(草鞋)】の意味
【二足のわらじ】の意味は、同じ人が二つの仕事や立場を兼ねることです。
「二足のわらじ(草鞋)」の意味 | ・両立が難しい二つの仕事を同じ人が兼ねること ・一人で異なる業種の仕事を掛け持ちすること |
「両立が難しくどっちつかずになる」という悪い意味合いの言葉です。
異なる業種を掛け持ちすることで、本来は同じ業種を掛け持ちすることを「二足のわらじ」とは言いません。
【二足のわらじ】の「二足」の意味
「二足」の意味は、このようになります。
履き物の二対 |
【二足のわらじ】の「わらじ」の意味
「わらじ」の意味は、このようになります。
藁で作られた伝統的な履物 |
「草鞋」の読み方
「草鞋」は「わらじ」と読みます。
難読漢字の一つであり、「草履(ぞうり)」と間違えやすい漢字です。
また、「二足」が「二束」と書かれることがありますが、間違えです。
【二足のわらじ】の使い方・例文
使い方
本来は「両立が難しくどっちつかずになる」という悪いニュアンスで使われていました。
現在は、「二つの仕事を両立している」というポジティブなニュアンスで使われることが多いです。
「二足のわらじ」は「二足の草鞋を履く」が略されたもので、どちらも同じように使うことができます。
【二足のわらじ】の例文
例文1 | 彼は会社員と小説家の二足のわらじを履いている |
例文2 | コツコツ書いていた小説が賞をとったので、二足のわらじを履くのはやめて、小説に専念することにした |
例文3 | 彼女はOLの仕事をしながら、二足のわらじでお笑い芸人をやっている |
例文4 | 家業を継ぎ、農業とプログラマーの二足のわらじを履くことにした |
【二足のわらじ】仕事の例
会社員の場合
現在は副業している人が多く、二足のわらじを履いている人は珍しくはありません。
昔は副業を禁止している企業が多かったのですが、現在は副業を許可している企業も多いです。
会社員の二足のわらじの例 |
・会社に勤めながら、週末や繁忙期に農業を手伝っている ・会社に勤めながら、休日に小説を書いている ・会社に勤めながら、アクセサリーを作りネット販売している ・会社に勤めながら、YouTubeで動画配信している |
有名人・芸能人の場合
有名人・芸能人が二足のわらじを履いているケースは多いです。
有名人・芸能人の二足のわらじの例 |
・芸能活動をしながら、飲食店やアパレルショップなどを経営している ・芸能活動をしながら、芸術家として活動している |
有名人や芸能人は知名度が高く、多才な人が多いです。
趣味で描いていた絵が認められて、個展を開いたり、デザインを任されることも少なくありません。
【二足のわらじ】の別表記
「二足のわらじ」は「二足の草鞋を履く」が略されたものです。
別表記で以下のように書かれることがありますが、全て同じ意味です。
「二足のわらじ(草鞋)」の別表記 | ||||
二足の草鞋を穿く | 二足の草鞋をはく | 2足の草鞋を穿く | 2足のわらじをはく | 二足の草鞋を履く |
二足の草鞋をはく | 2足の草鞋を履く | 二足のわらじを穿く | 2足のわらじを履く |
「わらじ(草鞋)」のつくことわざ
その1(金の草鞋で尋ねる・かねのわらじでたずねる)
「金の草鞋で尋ねる」とは、このような意味です。
根気よく、あちこち探し回ること |
擦り切れることのない、金属製のわらじを履いて探すという意味から転じています。
その2(草鞋を穿く・わらじをはく)
「草鞋を穿く」とは、このような意味です。
・旅に出ること ・罪を犯した者、警察から逃れようと旅に出ること |
その3(草鞋を脱ぐ・わらじをぬぐ)
「草鞋を脱ぐ」とは、このような意味です。
・旅を終える ・旅の途中で宿泊する ・博打打ちなどが、ある土地に一時的に身を落ち着けること |
家や宿に着いたらわらじを脱ぐことから転じています。
その4(長いわらじを履く・ながいわらじをはく)
「長いわらじを履く」とは、このような意味です。
博徒などがその土地にいられなくなり、旅に出ること |
その5(仲人は草鞋千足・なこうどはわらじせんそく)
「仲人は草鞋千足」とは、このような意味です。
仲人が縁談をまとめるのは大変なことで、両家の間を行ったり来たりして千足のわらじを履き潰すほどだ |
仲人の苦労のたとえです。
その5(駕籠に乗る人担ぐ人、そのまたわらじを作る人・かごにのるひとかつぐひと、そのまたわらじをつくるひと)
「仲人は草鞋千足」とは、このような意味です。
世の中は様々な職業に従事している人がいて成り立っていて、持ちつ持たれつである |
【二足のわらじ】の類語・似た意味のことわざ
その1(兼業・けんぎょう)
「兼業」とは、このような意味です。
本業以外に事業を持つこと |
例文 | 会社勤めと農業を兼業している |
その2(副業・ふくぎょう)
「副業」とは、このような意味です。
本業以外の仕事で収入を得ること |
例文 | 私の会社では副業は禁止されている |
その3(二刀流・にとうりゅう)
「二刀流」とは、このような意味です。
二つの物事を同時にうまく行うこと |
例文 | 投手と打者の二刀流を見事にこなしている |
その4(二兎を追う者は一兎をも得ず・にとをおうものはいっとをもえず)
「二兎を追う者は一兎をも得ず」とは、このような意味です。
同時に二つのことをしようとすると、結局どちらも成功しないこと |
例文 | 二兎を追う者は一兎をも得ずというように、今は本業に集中すべきだ |
その5(虻蜂とらず・あぶはちとらず)
「虻蜂とらず」とは、このような意味です。
二つのものを同時に取ろうとして、どちらも得られないこと |
例文 | たくさんの事を同時進行で行なっていたら、結局虻蜂とらずとなってしまった |
その6(掛け持ち・かけもち)
「掛け持ち」とは、このような意味です。
二つ以上の職や役目を同時に受け持つこと |
例文 | 彼は留学するために、アルバイトを掛け持ちしている |
【二足のわらじ】の英語表現
その1(wear two hats)
直訳すると「二つの帽子をかぶる」ですが、「2つの仕事を掛け持ちする」意味でも使われます。
「二足のわらじ」の英語表現として使うことができます。
英語 | 日本語 |
wear | 着る |
hat | 帽子 |
He is wearing two hats. |
彼は2足のわらじを履いている |
その2(Don’t have too many irons in the fire)
「炉の中にあまり多くの蹄鉄をいれるな」という英語の教訓です。
「やりかけの仕事があるのに、新しい仕事に手を出してはいけない」という意味です。
やっている中途の仕事があるのに、新たなことに手を出してはいけないという教訓を表しています。
「二足のわらじ」の英語表現として使うことができます。
英語 | 日本語 |
iron | 鉄 |
fire | 火 |
その3(be engaged in two trades at the same time)
直訳すると「同時に2つの仕事に携わる」となり、「2つの仕事を掛け持ちする」意味でも使われます。
「二足のわらじ」の英語表現として使うことができます。
英語 | 日本語 |
be engaged in〜 | 〜に携わる |
trade | 商売・職業 |
same time | 同時 |
その4(have one’s fingers in two pies play icon)
「余計な手出しをする・いろいろなことに関わる」という意味です。
「二足のわらじ」の英語表現として使うことができます。
英語 | 日本語 |
be engaged in〜 | 〜に携わる |
finger | 指 |
pie | パイ |
icon | 像・肖像 |
She has his fingers in two pies. |
彼女は二足の草鞋を履いている |
その5(double-jobbing)
「仕事の掛け持ち」という意味です。
「二足のわらじ」の英語表現として使うことができます。
英語 | 日本語 |
double | 二倍の |
jobbing | 臨時雇いの |
She has his fingers in two pies. |
彼女は二足の草鞋を履いている |
その6(Sideline)
「Sideline」は「副業」という意味です。
二つの仕事を掛け持ちしているという意味で「二足のわらじ」の英語表現として使うことができます。
「Side job」も「副業」という意味で、同じように使うことができます。