【濡れ衣/ぬれぎぬ】現在の意味と5つの由来・語源とは/英語表現も解説

ハルちゃん
ハルちゃん
この記事では【濡れ衣/ぬれぎぬ】の次のことについてお伝えします。
 
・現在の意味と元々の意味
・5つの由来と語源
・5つの英語表現
・5つの類語
 

【濡れ衣/ぬれぎぬ】の意味
現在の意味 ・無実の罪
・根拠のない噂
元々の意味 雨水などで濡れた衣服

 

【濡れ衣/ぬれぎぬ】の由来・語源の有力説
怖しいママハハの嫌がらせ説
娘の美しさに嫉妬したママハハが、漁師を金品でそそのかし、娘を死に追いやった怖しい昔話に由来

 

【濡れ衣/ぬれぎぬ】の5つの英語表現
false accusation false charge
a bum rap scapegoat
frame

 

【濡れ衣/ぬれぎぬ】の5つの類語・言い換え
冤罪 責任転嫁 無実の罪 事実無根 根も葉もない

 

より詳しくは記事をお読み下さい。
みーちゃん
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【濡れ衣/ぬれぎぬ】現在の意味・元々の意味とは

ハルちゃん
ハルちゃん
この章では「濡れ衣」の意味をお伝えします。

「濡れ衣」の意味

     

  • ❶現在の意味
  • ❷元々の意味
  • ❸読み方

【濡れ衣/ぬれぎぬ】現在の意味とは

 
濡れ衣の現在の意味は、身に覚えのない罪です。
  
現在の意味で使われるようになったのは、平安時代と言われています。

【濡れ衣/ぬれぎぬ】現在の意味
・無実の罪
・根拠のない噂

 

【濡れ衣/ぬれぎぬ】元々の意味とは

 
濡れ衣の元々の意味は、文字通り、濡れた衣服です。

【濡れ衣/ぬれぎぬ】元々の意味
雨水などで濡れた衣服

万葉集では、濡れた着物の意味で「濡衣」が使われていました。
  

「濡れ衣」の読み方とは

 
「濡れ衣」の読み方は「ぬれぎぬ」です。
  
「ぬれごろも」と読まれることもあります。
  
「濡衣」と書かれることがありますが、間違いではありません。



5つある!【濡れ衣/ぬれぎぬ】の由来・語源

この章では「濡れ衣」の由来・語源をお伝えします。
みーちゃん
みーちゃん

「濡れ衣」の由来・語源

     

  • その1:ママハハの嫌がらせ説
  • その2:海女さんの濡れた衣説
  • その3:神の裁判説
  • その4:古今和歌集の和歌説
  • その5:蓑のない説

その1(ママハハの嫌がらせ説)

 
先妻の娘の美しさに嫉妬したママハハ(継母)が、漁師に金品を渡し、娘に衣を盗まれたと嘘をつかせます。
  
それを聞いた父が娘の部屋を覗くと、漁師の衣が置いてあったため、父は激怒し娘を斬り殺してしまったそうです。
  
この話から、無実の罪のことを「濡れ衣」というようになりました。
  
この話にまつわる「濡衣塚」という石碑が、福岡県の博多に存在しています。
  
実話であるため、もっとも有力な説とされています。
  

その2(海女さんの濡れた衣説)

 
古語で水中に潜ることを「かずく(潜く)」、他人に責任を押し付けることを「かずく(被く)」と言います。

かずく(潜く) 水中に潜ること
かずく(被く) 他人に責任を押し付けること

この二つの言葉、意味は異なりますが発音は同じです。
  
この発音と、海女さんが海水で濡れた衣を着ていることから、他人に責任を押し付けることを「濡れ衣」というようになりました。
  

その3(神の裁判説)

 
古代の日本では「盟神探湯(くかたち)」という神明裁判が行われていました。
  
これは、神の意思で物事の真偽などを判断する裁判の方法です。
  
濡れた衣服を着せて早く乾けば無罪、乾かなければ有罪とされていました。
  
このことから、無実の罪のことを「濡れ衣」というようになったということです。
  

その4(古今和歌集の和歌説)

 
古今和歌集の巻八に、このような和歌があります。

和歌 かきくらしことはふらなむ春の雨に濡衣きせて君をとどめむ
現代語訳 空が曇りどうせなら雨が降ってほしい。春雨のせいにして、あなたを留めることができるから。

この和歌では、愛する人を留める理由を、春雨のせいで衣が濡れてしまうからとしています。
  
つまり、春雨に罪を着せているのです。
  
このことから、無実の罪のことを「濡れ衣」というようになったということです。
  

その5(蓑のない説)

 
「無実」は「実(み)が無い」と書きます。
  
これが、「実(み)のない」→「みのない」→「蓑(みの)ない」と転じていきました。
  
蓑は昔、雨具として使われていました。
  
蓑が無いと衣が濡れてしまうことから、無実の罪のことを「濡れ衣」というようになったということです。
  

由来・語源の有力説は「濡衣塚」の怖い昔話

 
「濡れ衣」の由来・語源は、「ママハハの嫌がらせ説」が有力説と言われています。
  
この説の怖しい出来事は、735年~749年の聖武天皇の時代に筑前國(現在の福岡県)で起こりました。
  
筑前国の地誌である「筑前国続風土記」にもこの話に関する記載があります。
  
また、博多区の御笠川沿いの歩道に、石碑と仏像が並ぶ「濡衣塚」があり、娘さんのお墓もあるようです。
 



「濡衣塚」の怖い昔話

ハルちゃん
ハルちゃん
この章では「濡衣塚」の怖い昔話をお伝えします。

後妻との再婚

 
8世紀(奈良時代)に、佐野近世という者が、妻子を連れて筑前国の国司としてやってきました。
  
後に妻が病死し、近世は地元の女性と再婚しますが、この後妻が悪い人でした。
  
先妻の美しい娘に嫉妬した後妻は、漁師に金品を渡し、娘に衣を盗まれたと近世に嘘をつかせました。
  

騙された父・近世

 
娘が衣を盗んだと聞かされた近世が娘の部屋を覗くと、そこには濡れた衣を掛けて眠っている娘の姿がありました。
  
実はこの衣、娘が寝ている間に後妻が掛けたもの。
  
しかし、騙されていることに気が付かない近世は激怒し、娘を斬り殺してしまいます。
  

夢に出てくる娘

 
娘が亡くなった翌年、近世が寝ていると、娘が夢に現れ二首の歌を読みました。

和歌 脱ぎ着する そのたばかりの 濡れ衣は 長き無き名の ためしなりけり
現代語訳 私が脱ぎ着した、私を陥れるための嘘の濡れた衣は、この先ずっと私のような無実の罪の例として語り継がれるでしょう
和歌 濡れ衣の 袖よりつたふ 涙こそ 無き名を流す ためしなりけれ
現代語訳 濡れた衣の袖から落ちる涙のような潮こそ、いわれのない浮名を流すということを示しているのです

娘の無実知った近世は、後妻と離婚し出家。
  
その後「濡衣塚」を建てたそうです。
  

まとめ

 
後妻の罠にハマってしまった近世は、無実の娘を斬り殺してしまいました。
  
この怖しい実話から、無実の罪のことを「濡れ衣」というようになったということです。
  

【濡れ衣/ぬれぎぬ】の英語表現

この章では「濡れ衣」の英語表現をお伝えします。
みーちゃん
みーちゃん

「濡れ衣」の英語表現

false accusation false charge
a bum rap scapegoat
frame

その1(false accusation)

 
「false accusation」で「無実の罪・言いがかり」という意味です。
  
「濡れ衣」の英語表現として使うことができます。

英語 日本語
false 間違った、誤った、嘘を言う
accusation 告発・避難・言いがかり
I was falsely accused
私は濡れ衣を着せられた

 

その2(false charge)

 
「false charge」で「冤罪」という意味です。
  
「濡れ衣」の英語表現として使うことができます。

英語 日本語
false 間違った、誤った、嘘を言う
charge 避難する・告発する・負わせる
You were falsely charge
あなたは濡れ衣を着せられた

 

その3(a bum rap)

 
「a bum rap」で「無実の罪」という意味です。
  
「濡れ衣」の英語表現として使うことができます。

英語 日本語
bum 無能な人・役立たず・怠け者
rap 避難・罰・逮捕
It was a bum rap
それは濡れ衣だった

 

その4(scapegoat)

 
「scapegoat」は「他人の罪を負わされる人、身代わり、犠牲」という意味です。
  
「濡れ衣」の英語表現として使うことができます。

They used me as a scapegoat
濡れ衣を着せられた

 

その5(frame)

 
「frame」は「枠組み・組み立てる」という意味で使われる単語です。
  
「濡れ衣」という意味で使うこともできます。

She framed you
彼女はあなたに濡れ衣を着せた



【濡れ衣/ぬれぎぬ】の類語・言い換え

ハルちゃん
ハルちゃん
この章では「濡れ衣」の類語・言い換え表現をお伝えします。

「濡れ衣」の類語・言い換え

冤罪 責任転嫁 無実の罪 事実無根 根も葉もない

その1(冤罪・えんざい)

 
「冤罪」とは、このような意味です。

「冤罪」のいみ
無実なのに犯罪を犯したとされてしまうこと

「冤罪」は法律用語なので、使われる範囲が限定されます。
  
「冤罪」は法に触れる時に使われますが、「濡れ衣」は法に触れないような、日常の小さなことにも使われます。

例文 冤罪事件はあってはならないことだ

 

その2(責任転嫁・せきにんてんか)

 
「責任転嫁」とは、このような意味です。

「責任転嫁」の意味
自分の負うべき責任を、他人に押し付けること
例文 同僚が自分の失敗を責任転嫁するので困っている

 

その3(無実の罪・むじつのつみ)

 
「無実の罪」とは、このような意味です。
  
「冤罪」とほぼ同じ意味です。

「無実の罪」の意味
実際には犯していない罪
例文 彼女は無実の罪で訴えられている

 

その4(事実無根・じじつむこん)

 
「事実無根」とは、このような意味です。

「事実無根」の意味
事実である根拠がないこと
例文 浮気報道がでた俳優は、事実無根だと否定していた

 

その5(根も葉もない・ねのはもない)

 
「根も葉もない」とは、このような意味です。

「根も葉もない」の意味
物事の根拠や証拠が全くないこと
例文 人気アイドルの結婚報道がでたが、根も葉もない噂だった

 

【濡れ衣/ぬれぎぬ】の使い方・例文

使い方

「濡れ衣」は、見に覚えのない罪を着せられたり、噂を流されたりした時に使われます。
  
言い回しとしては、このようなものがあります。

言い回し 意味
濡れ衣を着る
濡れ衣を着せられる
無実の罪を負わされたり、悪い噂を流されること
濡れ衣を着せる 無実の罪を負わせたり、悪い噂を流すこと
濡れ衣を晴らす 無実の罪を負わされたり、悪い噂を流されたを解消すること

 

例文

例文1 同僚に濡れ衣を着せられそうになった
例文2 彼に濡れ衣を着せるなんて、どうかしている
例文3 ようやく冤罪を晴らすことができた
例文4 おとなしい性格のせいで、濡れ衣を




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