【四面楚歌】の意味とは/由来となった故事の現代語訳・例文を解説

ハルちゃん
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この記事では【四面楚歌】の意味・由来・例文・現代語訳をお伝えしています。
【四面楚歌】の意味
・周りが敵ばかりで、味方や助ける者がいないこと
・敵の中に孤立して、助けや味方がないこと
【四面楚歌】の由来
中国の歴史書「史記(項羽本紀)」の故事に由来
より詳しくは記事をお読み下さい。
みーちゃん
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目次

四字熟語【四面楚歌(しめんそか)】の意味とは

【四面楚歌(しめんそか)】の意味

【四面楚歌】の意味はこのようになります。

・周りが敵ばかりで、味方や助ける者がいないこと
・敵の中に孤立して、助けや味方がないこと

集団の中で孤立している状態を意味しています。

「四面」の意味

「四面」とはこのような意味です。

四つの面・周り・四方・周囲

「楚歌」の意味

「楚歌」とはこのような意味です。

中国の楚歌の歌

読み方

「四面楚歌」の読み方は「しめんそか」です。

【四面楚歌】の由来・語源をわかりやすく解説

由来は「史記」に書かれている故事

「四面楚歌」は中国の歴史書「史記(しき)」に書かれている故事に由来しています。

「史記」の「項羽本紀」に書かれている、「垓下の戦い(がいかのたたかい)」にまつわるエピソードです。

「垓下の戦い」は、紀元前202年に行われた楚(そう)と漢(かん)の戦いです。

これに楚が敗れたことで、楚漢戦争が終結しました。

【四面楚歌】の語源は「垓下の戦い」に由来している

楚が漢に破れた時、垓下の城壁の中に立てこもっていた楚軍は、漢軍に包囲されていました。

この時、四面(周囲)の漢軍から聞こえてきたのが楚の歌です。

これは、楚の国の人の多くが裏切り、漢軍についたことを意味していました。

このエピソードから、「周りが敵ばかりで、味方や助ける者がいないこと」という意味が生じました。
  

中国の歴史書「史記」とは

「史記」とは、中国の前漢時代に司馬遷(しばせん)によって編纂された歴史書です。
  
中国王朝の正史である「二十四史」の1つで、黄帝から前漢武帝までの二千数百年の歴史がまとめられています。
  
「本紀」12篇・「表」10篇・「書」8篇・「世家」30篇・「列伝」70篇の計130編成。
  
中国の歴史上最高傑作と言われるほど高く評価されている歴史書です。
  

由来となった「垓下の戦い」の発生した場所の地図

「四面楚歌」の由来である「垓下の戦い」が発生した場所は、中国の安徽省にある「垓下古戦場」です。
  
現在は、楚王(項羽)が寵姫である虞美人を抱いている像が建てられています。

由来となった「垓下の戦い」が元になった京劇「覇王別姫」

「垓下の戦い」にまつわるエピソードから作られた京劇が「覇王別姫」です。
  
1993年に公開された映画「さらば、わが愛/覇王別姫」では、劇中劇として「覇王別姫」が登場しています。
  
中国最高傑作とも言われ、大ヒットした作品です。


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【四面楚歌】の由来となった故事の物語のあらすじ・内容

紀元前206年から紀元前202年にかけて、楚と漢は戦争を繰り返していました。

盟約を破った漢

戦争を繰り返していた楚と漢ですが、食料不足などの理由から、両軍とも戦いを止めることを願っていました。

紀元前203年、漢から楚に使者が送られ、互いに攻撃しないという盟約が結ばれます。

しかし、紀元前202年に漢は盟約を破り、楚を攻撃します。

包囲された楚軍

再び戦いが始まると、漢は、韓信・彭越などの武将を味方につけ兵力を集め、楚を追撃します。

漢軍の兵士は30万なのに対して、楚軍の兵士は10万。

兵士も食料も少なくなり劣勢となった楚軍は、垓下の城壁の中に立てこもりますが、漢軍に包囲されてしまいます。

漢軍から聞こえてくるの楚国の歌

ある夜、城壁を包囲している漢軍の兵士が、楚国の歌を歌いました。

それを聞いた楚王(項羽)は、多くの楚国の兵士が、寝返り漢軍についたことに驚きました。

漢軍は既に楚を占領したのか、外の敵に楚の人間のなんと多いことか

と、もうどうしようもできないと嘆いた項羽は、宴を開いて「垓下の歌」を読み、側近と共に涙を流したそうです。

項羽の死

項羽は残りの兵士を連れて逃げ、烏江という長江の渡し場へ至ります。

そこに愛馬や部下を残し、一人で漢軍の中へ。

項羽一人で何百もの漢兵を倒すも、自分も負傷し、最後は自害します。

項羽の死により、楚漢戦争は終結しました。

まとめ

漢軍から楚国の歌が聞こえた時、項羽はこのように嘆きました。

漢軍は既に楚を占領したのか、外の敵に楚の人間のなんと多いことか

楚の人間が漢に寝返り、自分たちは孤立したと敗北を覚悟したのです。

この故事から「周りが敵ばかりで、味方や助ける者がいないこと」を「四面楚歌」と言うようになりました。



【四面楚歌】の現代語訳・口語訳と書き下し文

包囲された楚軍

項王の軍垓下に壁す
項王の軍は、垓下の城壁の中に立てこもった
兵少なく食尽く
兵士は少なく、食料も尽きてしまった
漢軍及び諸侯の兵、之を囲むこと数重なり
漢軍とそれに味方する諸侯の兵士は、城壁を幾重にも包囲した

漢軍から聞こえてくるの楚国の歌

夜漢軍の四面皆楚歌するを聞き、項王乃ち大いに驚きて曰はく
ある夜に、漢軍が四方で楚の歌を歌うのを聞いて、項王は大変驚いて言った
「漢皆已に楚を得たるか。 是れ何ぞ楚人の多きや」と
「漢はすでに楚を占領したのか。敵に楚の人間のなんと多いことか。」と。
項王則ち夜起ちて帳中に飲す
項王は、夜に起きて本陣の中で宴を開いた

項王の愛妾と駿馬

美人有り、名は虞
項王には、虞という名前の愛妾がいた
常に幸せられて従ふ
いつも寵愛されて一緒にいた
駿馬あり、名は騅
項王には、騅という名前の駿馬がいた
常に之に騎す
つねにこれに乗っていた

項王の嘆いた歌

是に於いて項王乃ち悲歌忼慨し、自ら詩を為りて曰はく、
そこで項王は悲しげに歌い、激しく心をたかぶらせて、自ら詩を作って歌った
力山を抜き気世を蓋(おほ)ふ
私の力は山を引き抜き、気力は天下を覆うほどであった
時利あらず騅逝かず
時勢の利はなく、騅も進もうとしない
騅の逝かざる奈何すべき
騅が進もうとしないのをどうすることができるのか、どうにもできない。
虞や虞や若を奈何せん
虞よ、虞よ、お前をどうすればよいのか、どうにもできない。

項王と側近の絆

歌ふこと数闋、美人之に和す
歌うこと数回、愛妾も項王の歌に合わせて歌った
項王泣数行下る
項王は幾筋かの涙を流した
左右皆泣き、能く仰ぎ視るもの莫し
項王の側近は皆泣き、顔をあげて項王を見ることができる者はいなかった

【四面楚歌】の例文・使い方

「四面楚歌」を使うと、周りが敵ばかりで味方がいない状況を表現することができます。

日常やビジネスシーンでは、周りの協力や理解を得られない時などに使われます。

例文1 部長の意見に賛同する人が誰もおらず、四面楚歌であった
例文2 今は四面楚歌な状態だったとしても、諦めてはいけない
例文3 新しい企画を出したが、賛同者がおらず四面楚歌となってしまった
例文4 自分の行動を変えて、四面楚歌な状況を脱却するべきだ
例文5 チームワークは重要だ。四面楚歌であっては成功は難しいだろう

【四面楚歌】の英語表記

英語表現 その1(be surrounded by enemies all sides)

「be surrounded by enemies all sides」は直訳すると、「周囲を敵に囲まれた」となります。
  
敵に囲まれ孤立した状態は、まさに「四面楚歌」です。

英語 日本語
surrounded 周り・周囲
enemie
all sides 全ての方向

英語表現 その2(be forsaken by everybody)

「be forsaken by everybody」は直訳すると、「みんなに見捨てられた」となります。
  
見捨てられ孤立した状態は、「四面楚歌」と同じニュアンスです。

英語 日本語
forsaken 見捨てられた
everybody みんな

【四面楚歌】の類義語・類語

類義語・類語 その1(八方塞がり・はっぽうふさがり)

「八方塞がり」とはこのような意味です。

・逃げ場がない
・どのような手段もなく、どうしようもなくなってしまうこと
・逃げ場がないこと

八方が塞がり孤立している状態を表すので、四面楚歌と似た意味になります。
  

類義語・類語 その2(孤立無援・こりつむえん)

「孤立無援」とはこのような意味です。

味方がおらず、一人ぼっちで助けてくれる人がいない状況

助けてくれる人がおらず孤立している状態を表すので、四面楚歌と似た意味になります。
  

類義語・類語 その3(孤軍奮闘・こぐんふんとう)

「孤軍奮闘」とはこのような意味です。

味方がいない中で、一人で勇敢に戦うこと

助けてくれる人がいない中で、一人で頑張る状況を表すので、四面楚歌と似た意味になります。
  

類義語・類語 その4(無根無蔕・むこんむてい)

「無根無蔕」とはこのような意味です。

頼るべきところが全くないこと

周りに味方や頼れる存在がいない状況を表すので、四面楚歌と似た意味になります。
  

類義語・類語 その5(僑軍孤進・きょうぐんこしん)

「僑軍孤進」とはこのような意味です。

誰からの助けもなく、孤立した状態で進軍すること

「助けがない」「孤立した状態」という状況を表しているので、四面楚歌と似た意味になります。
  

類義語・類語 その6(背水の陣・はいすいのじん)

絶体絶命の中で必死に戦うこと

「絶体絶命の状況」は、四面楚歌の「助けがない・見方がいない状況」と似ています。
  

【四面楚歌】の対義語・反対語

対義語・反対語 その1(一致団結・いっちだんけつ)

・多くの人が心を1つにして協力し合うこと
・多くの人が1つの目的のためにまとまること

対義語・反対語 その2(和衷共済・わちゅうきょうさい)

・心を合わせて協力すること
・全力で他人を救うこと

対義語・反対語 その3(呉越同舟・ごえつどうしゅう)

仲の悪い者同士が、目的のために協力すること




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