鉄火巻きの由来はマグロが真っ赤に焼けた鉄に似ていたことだった

鉄火巻きの由来は3つあり、どれも「真っ赤に焼けた鉄」と関係があります。「鉄火巻き」と「鉄」共通しているのは「鉄」という漢字だけのように思うのですが、一体どのような繋がりがあるのか気になります。
  
この記事では、鉄火巻きの3つの由来や、「鉄火」とつく食べ物についてお伝えします。


3つもある!鉄火巻きの由来

  
鉄火巻きの由来は3つあり、どれも「真っ赤に焼けた鉄」と関係しています。
  

鉄火巻きの由来 その1(マグロが赤くて辛かった説)

1つ目は、鉄火巻きに使われているマグロが、赤くて辛いことです。
  
「鉄火」の意味はいくつかありますが、そのうちの1つは「真っ赤に焼けた鉄」という意味です。
  
マグロの赤さとワサビの辛さが「真っ赤に焼けた鉄」に似ていることから、赤いマグロが入っているのり巻きだから「鉄火巻き」と呼ばれるようになりました。
  
鉄を鍛造する時の火花から、ピリッと辛いワサビが連想されますし、鉄が温度の低下とともに黒くなるところと、マグロの鮮度が落ちると黒っぽくなるところも、なんとなく似ているように思えます。

鉄火巻きの由来 その2(賭博場で鉄火巻きが食べられていた説)

2つ目は、昔は鉄火場(賭博場)で鉄火巻きが食べられていたことです。
  
昔、鉄火場(賭博場)では、賭博をしながら食事をとることが当たり前でした。片手で食べられるのり巻きは、とても人気のある食べ物だったようです。
  
その頃は「かんぴょう巻き」しかなく、これに飽きた人が、かんぴょうの代わりの他のものを巻けないかと考えた時に、思いついたのがマグロでした。
  
昔は、賭博場のことを鉄火場と呼んでいました。賭博に熱中している人の熱気で、まるで「真っ赤に焼けた鉄」のような場だったことが理由です。
  
そこでよく食べられていたのが、マグロが入っているのり巻きだったので「鉄火巻き」と呼ばれるようになりました。

鉄火巻きの由来 その3(マグロを生で食べることはあり得ない説)

3つ目は、昔はマグロを生で食べることは、あり得なかったことです。
  
昔はマグロを生で食べる習慣がなく、マグロを生で食べるなんて、とんでもない。「真っ赤に焼けた鉄」に触るのと同じくらい危険なことだと思われていました。
  
このため、生のマグロが入っているのり巻きが「鉄火巻き」と呼ばれるようになりました。
  


鉄火巻き以外にもある名前に「鉄火」とつく食べ物

「鉄火」とつく食べ物には、鉄火巻き・鉄火丼・鉄火飯・鉄火味噌・鉄火しょうゆうどん・鉄火重などがあります。
  
これらの食べ物に共通しているのは、「色が赤い」ということです。
  
鉄火味噌にマグロは入っていませんし、鉄火丼や鉄火飯など他のものは、賭博をしながら手軽に食べられるようなものではないような気がします。
  
こうやって考えてみると、鉄火巻きの由来は、赤いマグロが入っているのり巻きだから!という、とてもシンプルなものなのではないかなと、思えてなりません。
  

「鉄火」と名前がつく食べ物の元祖は鉄火味噌

「鉄火」とつく食べ物の元祖は「鉄火味噌」というものです。
  
鉄火味噌とは、赤味噌に炒り大豆やごぼう、唐辛子などを加えて練った、おかずにもなる食べる味噌です。
  
「食べる点滴」とも言われ、戦国時代の武士にとって大切な栄養源だったという記録が残っているそうです。
  
とにかく栄養があって健康にもいいし、美味しいし、ご飯のお供に最適なおかず味噌なのです!
  
鉄火味噌と名前付けられたのは、色が赤く辛みがあることからです。
  
真っ赤に焼けた鉄の色と、鉄の火花から連想されてつけられた名前なのでしょうね。
  
今では「鉄火」のつく料理といえば海鮮料理が浮かびますが、元々は辛くて赤い料理という意味でした。
  
健康にもよくて、しかもお美味しいなんて最高ですね!

鉄火巻きの発祥の地は東京の品川が有力

鉄火巻きの発祥の地は品川というのが有力のようです。
  
確実な根拠はないのですが、品川の旧東海道に賭博場があったことや、品川では海苔の養殖が盛んだったことが理由とされています。
  
さらに、品川にはお寿司屋さんが多かったこともあり、品川の賭博場では、マグロをぶつ切りにしたものを海苔に巻いて食べていたそうなので、発祥地である可能性は高そうです。
  

人の性格にも使われる「鉄火」の意味

  
鉄火の意味で一般的なのは「真っ赤に焼けた鉄、その鉄を鋳造するときにでる火花」ですが、もう1つ別の意味があります。
  
「気性が激しくさっぱりしている」「威勢が良い」「勇ましい」など、人の性格を表す意味もあります。
  
気性が激しく怒りっぽい人を「鉄火肌」と言い、勇ましく激しい女性を「鉄火な姉御」と言います。
  
女性に使われることが多く、男勝りで気の強いサバサバした性格の女性なイメージでしょうか。
  
美味しそうな鉄火巻きも、食べてみるとピリッとしたワサビの辛さがある。美人で大人しそうな女性も、会話をしてみると男勝りで気が強い性格だったりする。
  
違う使い方をされていても、掘り下げていくと共通している部分があって、言葉って面白いなと感じます。
  

長崎には白い鉄火巻きがある

  
長崎にはなんとなんと!「白い鉄火巻き」があります。
  
これは長崎のご当地寿司で、白い中身は何かというと、長崎でとれるブリ、ハマチ、カンパチ、ヒラマサなどです。
  
長崎ではマグロの水揚げ量が少なく、昔は冷凍マグロが美味しくなかったので、マグロは人気のない魚でした。
  
昔から地元でとれる、歯ごたえのある白身魚が好まれて食べられていたので、自然とハマチやカンパチなどを巻くようになったのではないかと考えられています。
  
あれだけ海に面していて水揚げ量の多い県なので、地元でとれる新鮮で美味しい魚を食べるのは当然ですよね。
  
今では物流や冷凍技術の向上、マグロを養殖していることもあり、長崎のマグロもすごく美味しくなっています。
  
そのため、マグロの人気も高まり、鉄火巻きといえばマグロというのが一般的になってきているようです。
  
長崎では、今でも白い鉄火巻きが食べられるお店があるようなので、訪れたときには食べてみたいなと思います!



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