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虎に捕まった狐は、「自分は天帝から百獣の王になるよう命じられた。食べたら罰が当たる。嘘だと思うならついて来なさい。」と言います。
虎が狐の後について行くと、動物たちは狐の後ろの虎を恐れて、みな逃げて行きました。
この様子を見て、虎は狐の話を信じました。
この故事から、「強い者の力を頼って威張る人」の意味で【虎の威を借る狐】が使われるようになりました。
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①意味・読み方 |
②由来・語源 |
③漢文の現代語訳・書き下し文 |
④【虎の威を借る狐】と意味・由来が同じ四字熟語「狐借虎威(こかこい)」 |
⑤例文・使い方 |
⑥類語・類義語 |
⑦英語表現 |
⑧中国語表現 |
【虎の威を借る狐】と意味・由来が同じ四字熟語 |
狐借虎威(こかこい) |

【虎の威を借る狐】12の類語・類義語 | ||
笠に着る | 人の褌で相撲を取る | 他人の威光で威張る |
他人の権勢を利用する | 後ろ盾 | 便乗する |
親の七光り | 勝ち馬に乗る | コバンザメ |
虚仮威し | 虚勢を張る | 尻馬に乗る |

【虎の威を借る狐】の英語表現 |
ass in a lion’s skin |

【虎の威を借る狐】の中国語表現 |
狐假虎威(hújiǎhǔwēi) |

故事成語【虎の威を借る狐】の意味・読み方
意味・読み方
- ❶【虎の威を借る狐】の意味
- ❷意味を「スネ夫」でわかりやすく解説
- ❸「威」の意味
- ❹「借る」の意味
- ❺【虎の威を借る狐】の読み方

【虎の威を借る狐】の意味
【虎の威を借る狐】の意味は、強い者の力を頼って威張る人です。
【虎の威を借る狐】の意味 |
強い者の力を頼って威張る人 |
【虎の威を借る狐】の意味を「スネ夫」でわかりやすく解説
ドラえもんに登場するお馴染みのキャラクター「スネ夫」
スネ夫は、ジャイアンといつも一緒にいて、ジャイアンの強さを利用して威張っているところがあります。
このずる賢い感じが【虎の威を借る狐】です。
「威」の意味
「威」の意味は、力で押さえつけ、人を恐れさせることです。
「威」の意味 |
・力で押さえつけ、人を恐れさせること ・威厳 |
「借る」の意味
「借る」の意味は、利用するです。
「借る」の意味 |
利用する |
「借る」は「借りる」の文語形で、「仮る」と書くこともあります。
【虎の威を借る狐】の読み方
【虎の威を借る狐】の読み方は「とらのいをかるきつね」です。
「借る」は「借りる」の文語形なので、「虎の威を借りる狐」と書かれることがあります。
また「借る」が「仮る」と表記されることもありますが、どちらも間違いではありません。
【虎の威を借る狐】の由来・語源は虎と狐の故事
由来・語源
- ❶由来・語源は虎と狐の故事
- ❷虎と狐の故事/物語の内容
- ❸故事の背景
- ❹故事の出典/中国の「戦国策(せんごくさく)」
- ❺「戦国策」に由来する故事成語

【虎の威を借る狐】の由来・語源は虎と狐の故事
【虎の威を借る狐】の由来・語源は、虎と狐の故事です。
中国の前漢時代の書物「戦国策(せんごくさく)」の「楚策(そさく)」に書かれている物語です。
虎と狐の故事/物語の内容
虎に捕まった狐が、「私は天帝から百獣の王になるように命じられた。」と嘘をつきます。
「私を食べたら罰が当たる。嘘だと思うなら、私について来なさい。」と。
虎が狐の後について行くと、動物たちは狐の後ろの虎を恐れて、みな逃げて行きます。
虎は、自分ではなく、狐を恐れて逃げたのだと思い込み、狐の話を信じました。
この故事から、「強い者の力を頼って威張る人」の意味で【虎の威を借る狐】が使われるようになりました。
故事の背景
中国の戦国時代(紀元前4世紀頃)のことです。
楚国の王は、自国の大臣が外国から恐れられているという噂を耳にします。
この噂が本当かどうか王に尋ねられた大臣は、王に「虎と狐の故事」の話をします。
そして、大臣が外国から恐れられているのは、王の軍隊を恐れているからだと答えました。
故事の出典/中国の「戦国策(せんごくさく)」
「戦国策」とは、戦国時代の遊説士の策略などを、国別にまとめた33編から成る書物です。
元々「国策」「国事」「事語」「短長」「長書」「脩書」と呼ばれていた書物がありました。
これらを、前漢の時代に、学者・政治家である劉向(りゅうきょう)が一つにまとめました。
「戦国策」は「戦国時代」の名前の由来となった書物でもあります。
「戦国策」に由来する故事成語
【虎の威を借る狐】と同じ、「戦国策」の故事に由来する故事成語に「蛇足」「漁夫の利」があります。
「蛇足」「漁夫の利」についても記事を書いていますので、お読み下さい。
【蛇足】意味・由来の故事の書き下し文と現代語訳/例文・使い方も解説 |


【漁夫の利】意味・読み方/由来の故事の書き下し文・現代語訳を解説 |
【虎の威を借る狐】漢文の現代語訳・書き下し文・白文

原文・白文 | 虎求百獣而食之、得狐。 |
書き下し文 | 虎 百獣を求めて之を食らひ、狐を得たり。 |
読み方 | とら ひゃくじゅうをもとめてこれをくらい、きつねをえたり。 |
現代語訳 | 虎は獣を探して食べていましたが、(ある日)狐を捕まえました。 |
原文・白文 | 狐曰、「子無敢食我也。 |
書き下し文 | 狐曰はく、「子敢へて我を食らふこと無かれ。 |
読み方 | きつねいわく、しあえてわれをくらうことなかれ。てんてい、「 |
現代語訳 | 狐が言うことには、「あなたは決して私を食べてはいけません。 |
原文・白文 | 天帝使我長百獣。 |
書き下し文 | 天帝我をして百獣に長たらしむ。 |
読み方 | てんてい、われをしてひゃくじゅうにちょうたらしむ。 |
現代語訳 | 天帝は私を百獣の王ととしました。 |
原文・白文 | 今子食我、是逆天帝命也。 |
書き下し文 | 今子我を食らはば、是れ天帝の命に逆らふなり。 |
読み方 | いま、し、われをくらわば、これてんていのめいにさからうなり。 |
現代語訳 | 今あなたが私を食べたなら、それは天帝の命令に背くことになります。 |
原文・白文 | 子以我為不信、吾為子先行。 |
書き下し文 | 子我を以つて信ならずと為さば、吾子の為に先行せん。 |
読み方 | し、われをもってしんならずとなさば、われ、しのためにせんこうせん。 |
現代語訳 | あなたが私のことを信じないのならば、私はあなたのために先に立って歩きましょう。 |
原文・白文 | 子随我後観。 |
書き下し文 | 子我が後に随ひて観よ。 |
読み方 | し、わがあとにしたがいてみよ。 |
現代語訳 | あなたは私の後について来て、見なさい。 |
原文・白文 | 百獣之見我、而敢不走乎。」 |
書き下し文 | 百獣の我を見て、敢へて走げざらんや。」と。 |
読み方 | ひゃくじゅうのわれをみて、あえてはしらざらんや、と。 |
現代語訳 | 百獣の王である私の姿を見て、(他の獣たちが)どうして逃げないことがあるでしょうか。いやきっと逃げ出すはずです。 |
原文・白文 | 虎以為然。 |
書き下し文 | 虎以つて然りと為す。 |
読み方 | とら、もってしかりとなす。 |
現代語訳 | 虎は、もっともだと思いました。 |
原文・白文 | 故に遂に之と行く。 |
書き下し文 | 故に遂に之と行く。 |
読み方 | ゆえについにこれとゆく。 |
現代語訳 | そこでそのまま、狐と一緒に歩いて行きました。 |
原文・白文 | 獣見之皆走。 |
書き下し文 | 獣之を見て皆走ぐ。 |
読み方 | じゅう、これをみて みなはしる。 |
現代語訳 | 獣たちは、これ(狐と虎が一緒に歩いている様子)を見てみな逃げた。 |
原文・白文 | 虎不知獣畏己而走也。 |
書き下し文 | 虎獣の己を畏れて走ぐるを知らざるなり。 |
読み方 | とら、じゅうのおのれをおそれてはしるをしらざるなり。 |
現代語訳 | 虎は、獣たちが自分を恐れて逃げたことに気がつかなかったのです。 |
原文・白文 | 以為畏狐也。 |
書き下し文 | 以為へらく狐を畏るるなりと。 |
読み方 | おもえらく、きつねをおそるるなりと。 |
現代語訳 | (虎は獣たちが恐れているのは自分ではなく)狐のことを恐れているのだと思いました。 |
【虎の威を借る狐】と意味・由来が同じ四字熟語「狐借虎威(こかこい)」

【虎の威を借る狐】と意味・由来が同じ四字熟語に「狐借虎威(こかこい)」があります。
「狐借虎威(こかこい)」の意味 |
力のない者が、権力のある人の力を頼って威張ること |
由来の故事の出典は、「戦国策(せんごくさく)」の「楚策(そさく)」です。
【虎の威を借る狐】の例文・使い方
例文・使い方
- ❶例文
- ❷使い方

例文
例文1 | 彼は父親が議員だからと威張っているが、所詮は虎の威を借る狐だ。 |
例文2 | 先生に気に入られているからって偉そうにして、彼女は虎の威を借る狐だ。 |
例文3 | 私の父は有名なミュージシャンなのだが、虎の威を借る狐と言われたくなくて秘密にしていた。 |
使い方

大口の取引先だから面倒で、誰も注意しないのよね。



【虎の威を借る狐】12の類語・類義語

【虎の威を借る狐】の類語には、「笠に着る」「人の褌で相撲を取る」などがあります。
【虎の威を借る狐】12の類語・類義語 |
||
1 | 笠に着る (かさにきる) |
権力がある者の後援を頼って威張ること |
2 | 人の褌で相撲を取る (ひとのふんどしですもうをとる) |
他人の物を使って、自分の利益を得ること |
3 | 他人の威光で威張る (たにんのいこうでいばる) |
他人の権力を利用して威張ること |
4 | 他人の権勢を利用する (他人のけんせいをりようする) |
他人の権力や勢力を利用すること |
5 | 後ろ盾 (うしろだて) |
陰にいて力を貸し、助けること |
6 | 便乗する (びんじょうする) |
巧みに機会をとらえて利用すること |
7 | 親の七光り (おやのななひかり) |
権力を持つ親を持った子供が、その恩恵を受けること |
8 | 勝ち馬に乗る (かちうまにのる) |
有利な方につくこと |
9 | コバンザメ | 力の強い者の近くにいて、そのおこぼれにあずかる者のたとえ |
10 | 虚仮威し (こけおどし) |
浅はかな見えすいた威し |
11 | 虚勢を張る (きょせいをはる) |
弱いところを隠して、外見だけは力のあるふりをする |
12 | 尻馬に乗る (しりうまにのる) |
他人の言動に同調して、軽はずみな行動をする |
【虎の威を借る狐】の英語表現

【虎の威を借る狐】の英語表現は「ass in a lion’s skin」です。
【虎の威を借る狐】の英語表現 |
ass in a lion’s skin |
イソップ童話の物語の一つ「ライオンの皮を被ったロバ(The ass in the lion’s skin)」のタイトルに由来することわざです。
ロバがライオンの皮を被って他の動物を脅かしていたのですが、声を出してしまい正体を見破られてしまう物語です。
【虎の威を借る狐】の中国語

【虎の威を借る狐】の中国語表現は「狐假虎威」です。
【虎の威を借る狐】の中国語表現 |
狐假虎威(hújiǎhǔwēi) |
「假」は日本語では「仮」となり、「借りる」と言う意味です。