【百聞は一見にしかず】の意味と由来の漢文とは/続きのことわざも解説

ハルちゃん
ハルちゃん
この記事では【百聞は一見にしかず(ひゃくぶんはいっけんにしかず)】の意味・由来・5つの続きのことわざをお伝えします。
 

【百聞は一見にしかず】の意味
・人から何度も聞くよりも、一度実際に自分の目で見る方が確かでよくわかる
・百回聞くよりも、一回でも自分で見た方が確かでよくわかる
【百聞は一見にしかず】の由来
中国の歴史書「漢書・趙充国伝」に書かれている故事
【百聞は一見にしかず】の5つの続きのことわざ
百見は一考にしかず 百考は一行にしかず 百行は一果にしかず
百果は一幸にしかず 百幸は一皇にしかず
より詳しくは記事をお読み下さい。
みーちゃん
みーちゃん



目次

ことわざ【百聞は一見にしかず】の意味とは

【百聞は一見にしかず】の意味とは

【百聞は一見にしかず】とは、このような意味のことわざです。

・人から何度も聞くよりも、一度実際に自分の目で見る方が確かでよくわかる
・百回聞くよりも、一回でも自分で見た方が確かでよくわかる

 

「百聞」の意味

「百聞」の意味はこのようになります。

・何度も聞いて知ること
・何度も聞くこと

 

「一見」の意味

「一見」の意味はこのようになります。

・一度見ること
・一通り見ること
・チラッと見ること

 

「しかず(如かず)」の意味

「しかず(如かず)」の意味はこのようになります。

・及ばない
・〇〇に越したことがない
・かなわない

 

【百聞は一見にしかず】の読み方

「百聞は一見にしかず」の読み方は、「ひゃくぶんはいっけんにしかず」です。
  
漢字表記を「百文は一見にしかず」と書かれることがありますが、これは間違いです。



【百聞は一見にしかず】の由来・語源

由来は「趙充国伝(ちょうじゅこくでん)」に書かれている故事

「百聞は一見にしかず」は、中国・前漢時代の歴史書「漢書・趙充国伝」に由来しています。
  
「漢書」の「趙充国伝」に書かれている、羌(きょう)という遊牧民族の反乱についてのエピソードです。
  
漢の皇帝は羌(きょう)の鎮圧を試みますが、情報が錯綜していた為、作戦が立てられずにいました。
  
困った皇帝は、将軍・趙充国(ちょうじゅこく)に羌(きょう)鎮圧の戦略を尋ねました。

  

語源は将軍の言葉に由来している

皇帝から、羌(きょう)鎮圧の戦略を尋ねられた将軍・趙充国(ちょうじゅこく)は、このように答えました。
  
「百聞は一見にしかず」と。
  
趙充国は羌(きょう)を調査する為に金城へ向かい、その結果見事な戦略を立て、鎮圧を成功させます。
  

「漢書・趙充国伝」とは

「漢書(かんじょ)」とは、中国・後漢時代に班固(はんこ)らによって編成された歴史書です。
  
中国王朝の正史である「二十四史」の1つで、前漢の歴史がまとめられています。
  
「本紀」12巻・「列伝」70巻・「表」8巻・「志」10巻の計100巻から成ります。
  

漢文に登場する「金城」の場所と地図

「百聞は一見にしかず」の漢文に登場する「金城」は「涼州の金城郡」のことです。
  
現在は「甘粛省」となっています。

【百聞は一見にしかず】の漢文・書き下し文・現代語訳

皇帝が趙充国に戦略を尋ねた

上遣問焉、曰、
上遣わして問わしめて曰く、
前漢の皇帝が使者をつかい、趙充国に尋ねた
将軍度羌虜何如、當用幾人
将軍、羌虜を度ること何如、当に幾人を用うべきか
将軍、羌の勢力はどれほどだろうか、羌を鎮圧するにはどれほどの兵力が必要だろうか

趙充国の返答

充国曰
充国曰く、
趙充国は言った
百聞不如一見。兵難踰度。
百聞は一見に如かず。兵は踰に度り難し。
百聞は一見に如かず。前線は遠いので戦略を立てるのが難しい。
臣願馳至金城、図上方略。
臣願わくば馳せて金城に至り、図きて方略を上らん。
私が金城へ行き、企図して戦略を立てましょう。



【百聞は一見にしかず】の続きと意味

「百聞は一見にしかず」には、後に付け加えられた5つの続きがあります。

その1(百見は一考にしかず)

「百見は一考にしかず」とは、このような意味です。

・何度も見るより、考えた方がいい
・百回見ても、自分で考えなければ意味がない

見るだけでは何も得るものはないので、しっかりと見て考えることが大切という教えです。
  

その2(百考は一行にしかず)

「百考は一行にしかず」とは、このような意味です。

・何度も考えるより、行動した方がいい
・百回考えても、自分で行動しなければ意味がない

考えるだけでは何も得るものはないので、理解して行動することが大切だという教えです。
  

その3(百行は一果にしかず)

「百行は一果にしかず」とは、このような意味です。

・何度も行動するより、成果を出した方がいい
・百回行動しても、成果を出さなければ意味がない

行動するだけでは何も得るものはないので、成果を出すことが大切だという教えです。
  

その4(百果は一幸にしかず)

「百果は一幸にしかず」とは、このような意味です。

・成果をあげるだけでなく、それが幸せや喜びに繋がらなければならない
・たくさんの成果をあげても、それが幸福に繋がらなければ意味がない

 

その5(百幸は一皇にしかず)

「百幸は一皇にしかず」とは、このような意味です。

自分だけでなく、周りの幸せを考えることが大切である

 

まとめ

幸せの形は人それぞれですが、成果をあげて幸せを掴む為には、諦めずに努力を続けることが大切です。
  
その結果、自分が幸せを掴むことができたなら、それは自分の努力だけでなく、周りのサポートもあったはず。
  
人は一人では生きていくことはできません。
  
より多くの人が、周りの幸せを考えられるこのようになれば、きっと素敵な世の中になる。
  
「百聞は一見にしかず」は、とても奥が深いことわざです。
  

【百聞は一見にしかず】の例文・使い方

「百聞は一見にしかず」は、「自分の目で見るのが確実である」という意味で使われます。

例文1 いろいろな噂があるが、百聞は一見にしかず。実際に見に行ってみよう。
例文2 百聞は一見にしかずというが、川沿いの桜並木は想像以上の絶景だった。
例文3 彼は料理が上手らしい。百聞は一見にしかずで、今度ホームパーティーで料理を作ってもらおう。
例文4 モロッコの砂漠には圧倒された。百聞は一見にしかずだから、一度見て欲しい。



【百聞は一見にしかず】の英語表現

その1(seeing is believing)

「seeing is believing」を直訳すると、「見ることは信じることだ」となります。
  
「自分の目で見るまでは信じられない」という意味なので、「百聞は一見にしかず」と同じ意味になります。

英語 日本語
see 見る
believe 信じる

 

その2(one eye-witness is better than many hearsays)

「one eye-witness is better than many hearsays」を直訳すると、「多くの伝聞より1つの目撃者だ」となります。
  
「伝聞よりも見ることだ」という意味なので、「百聞は一見にしかず」と同じ意味になります。
  

英語 日本語
eye-witness 目撃者
hearsays 伝聞

 

その3(a picture is worth a thousand words)

「a picture is worth a thousand words」を直訳すると、「一枚の絵は千の言葉の価値がある」となります。
  
「たくさんの言葉よりも見ることに価値がある」という意味なので、「百聞は一見にしかず」と同じ意味になります。

英語 日本語
picture 写真・絵
worth 価値
thousand words 千の言葉

 

【百聞は一見にしかず】に似たことわざ・類義語

 

その1(論より証拠)

「論より証拠」とは、このような意味のことわざです。

議論をするよりも、証拠を出すことで物事は明らかになる

 

その2(聞いた千遍より見た一遍)

「聞いた千遍より見た一遍」とは、このような意味のことわざです。

人から何度も聞くよりも、一度実際に自分の目で見る方が確かでよくわかる

 

その3(聞いた百より見た五十)

「聞いた百より見た五十」とは、このような意味のことわざです。

不確かなものに期待よりも、たとえ少なくても、確実なものの方が良い

 

その4(聞いた百より見た一つ)

「聞いた百より見た一つ」とは、このような意味のことわざです。

人から何回も聞くよりも、実際に自分で見た方が確かだ

 

その5(百聞は目見にしかず)

「百聞は目見にしかず」とは、このような意味のことわざです。

人から聞くよりも、実際に自分でよく見た方が優れている

 

その6(鯛も鮃も食うた者が知る)

「鯛も鮃も食うた者が知る」とは、このような意味のことわざです。

・鯛も鮃も、味がわかるのは、実際に食べた人だけである
・見たり聞いたりして知っていても、実際の経験にはかなわない

 

【百聞は一見にしかず】と同じ意味の四字熟語

その1(百聞一見・ひゃくぶんいっけん)

「百聞一見」は、「百聞は一見にしかず」と同じ意味の四字熟語です。
  

その2(実践躬行・じっせんきゅうこう)

「実践躬行」は、このような意味の四字熟語です。

自分自身で実際にやってみること

 

座右の銘に使われる【百聞は一見にしかず】

「百聞は一見にしかず」は座右の銘として使われることが多いです。
  
「様々な情報がある中で、事実をしっかりと見る」という気持ちを表すのにぴったりな言葉です。




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