
【登竜門】の由来・語源 |
古代中国には、鯉が「竜門」という急流を登り切ると竜になれるという伝説があった。 中国・後漢時代には、優秀な官僚(李膺・りよう)に才能を認められれば将来の出世が約束されたが、非常に難しいことであった。 「官僚に認められた人」を「急流を登り切った鯉」にたとえて「登竜門」と呼んだことに由来。 |

【登竜門】2つの意味 | |
本来の意味 | 出世や成功につながる関門を通ること |
現在の意味 | 出世や成功につながる関門 |

【登竜門】の読み方 |
とうりゅうもん |

【登竜門】3つの類語 | ||
入試 | 試験 | 試練 |

【登竜門】と同じ意味のことわざ |
鯉の滝登り |

【登竜門 】2つの英語表現 | |
gateway to success | a first step to success |


故事成語【登竜門/登龍門】の由来・語源
由来・語源
- ❶語源は鯉の伝説に由来
- ❷由来は中国の「後漢書・李膺伝」の故事
- ❸「鯉のぼり」も同じ伝説に由来していた
- ❹「後漢書・李膺伝」とは
- ❺黄河の「竜門」の場所

語源は鯉の伝説に由来
【登竜門】の語源は、黄河の鯉の伝説に由来します。
黄河には「竜門」と呼ばれる急流があり、これを登り切った鯉は竜になれると言われていました。
鯉が急流を登るのは大変なことで、登り切るのはとても難しいことでした。
この伝説は、困難を乗り切ることを表しています。
また、中国では、鯉は強く縁起の良い魚と言われています。
由来は中国の「後漢書・李膺伝」の故事
【登竜門】は中国の歴史書「後漢書(ごかんじょ)・李膺伝(りようでん)」の故事に由来します。
「後漢書・李膺伝」には次のようなことが書かれています。
中国・後漢時代に、李膺(りよう)という優秀な官僚がいました。
若い役人が李膺に才能を認められれば、将来の出世を約束されたも同然でしたが、認められることはとても難しいことでした。
「李膺に認められた人」は「黄河の竜門を登り切った鯉」にたとえて「登竜門」と呼ばれていました。
このことからに、「出世や成功につながる関門を通ること」を「登竜門」と言うようになりました。
「鯉のぼり」も同じ伝説に由来していた
端午の節句の「鯉のぼり」も、鯉の伝説に由来しています。
鯉の伝説が中国から日本に伝わり、日本でも、鯉は出世の象徴とされています。
また、鯉は強い魚です。
鯉のぼりには、子供にたくましく育ってほしいという願いも込められています。
「後漢書・李膺伝」とは
「後漢書」は、中国の後漢時代のことが書かれている歴史書です。
正史の一つで、本紀10巻・列伝80巻・志30巻の全120巻からなります。
本紀10巻・列伝80巻は南朝宋の范曄(はんよう)、志30巻は晋の司馬彪(しばひょう)がまとめたものです。
「李膺伝」は、列伝巻67「党錮列伝」に書かれています。
黄河の「竜門」の場所
「竜門(龍門)」は、中国陕西省と山西省の境界付近にあります。
「竜門」は黄河上流の急流です。
龍門から壷口瀑布までを「晋陝峡谷」といい、黄河で一番険しい場所です。
【登竜門】2つの意味と読み方
意味と読み方
- ❶本来の意味
- ❷現在の意味
- ❸読み方

【登竜門】には、2つの意味があります。
本来の意味
【登竜門】の本来の意味は、出世や成功につながる関門を通ることです。
【登竜門】本来の意味 |
出世や成功につながる関門を通ること |
現在の意味
【登竜門】の現在の意味は、出世や成功につながる関門です。
【登竜門】現在の意味 |
出世や成功につながる関門 |
本来は「関門を通過すること」という意味でしたが、現在は「関門そのもの」の意味で使われることが多いです。
読み方
【登竜門】は、「とうりゅうもん」と読みます。
漢字表記は「登竜門」「登龍門」、どちらも間違いではありません。
【登竜門】使い方・例文
使い方・例文
- ❶使い方
- ❷例文
- ❸二重表現

使い方
【登竜門】は、本来は、関門そのものではなく、関門を通過することを指す言葉です。




例文
例文1 | この試験に合格することは、出世の登竜門だ。 |
例文2 | 東大に合格することは、エリートの登竜門だ。 |
例文3 | 芥川賞を受賞することは、新人作家の登竜門だ。 |
二重表現(登竜門を登る・登竜門を通る)
「登竜門を登る」「登竜門を通る」と言った使い方をされることがあります。
【登竜門】は、本来は関門そのものではなく、関門を通過することを表す言葉です。
「登竜門を通る」だと「通過」の意味が二重に含まれることになります。
現在は、この二重の表現が許容されていますが、間違いだと感じる人もいるので使い方には注意が必要です。
【登竜門】3つの類語
類語
入試 | 試験 | 試練 |

その1(入試)
「入試」は、人生の中で大切なことの一つです。
入試という関門を通過し、名門大学に入学するかどうかで、人生は大きく左右されます。
人生を左右する入試に合格することは、「登竜門」と言い換えて使うことができます。
その2(試験)
「国家試験」「面接試験」など、試験に合格することは人生を左右する大切なことです。
学校の試験をイメージすると大げさに感じますが、国家試験などは合格するかどうかで人生が大きく左右されます。
試験に合格することは「登竜門」と言い換えて使うことができます。
その3(試練)
「試練」とは、決心や実力を厳しく試すことや、その時の苦難を表します。
「試練」の意味 |
・決心や実力を厳しく試すこと ・その時の苦難 |
「実力を厳しく試される」という意味が共通しているので、言い換えて使うことができます。
【登竜門】と同じ意味のことわざ

【登竜門】と同じ意味のことわざに「鯉の滝登り」があります。
「鯉の滝登り」の意味 |
①鯉が滝を登ること、勢いの良いことのたとえ ②立身出世のたとえ |
②の「立身出世のたとえ」の意味が、「登竜門」と同じです。
「登竜門」と同じ、鯉の伝説に由来する言葉です。
【登竜門】2つの英語表現
英語表現
gateway to success | a first step to success |

その1(gateway to success)
「gateway to success」で、「登竜門」と表現することができます。
「gateway to success」の意味 |
成功への入り口 |
The prize is the gateway to success for new singers. |
その賞は、新人歌手の登竜門だ。 |
その2(a first step to success)
「a first step to success」で、「登竜門」と表現することができます。
「a first step to success」の意味 |
成功への第一歩 |
Passing the exam is the first step to success. |
試験に合格することが、成功への第一歩だ。 |
【登竜門】漢文の書き下し文と現代語訳
原文・白文 | 是時朝庭日亂、綱紀穨阤。 |
書き下し文 | 是の時朝庭日に乱れて、綱紀穨阤す。 |
現代語訳 | 当時、朝廷は日に日に乱れ、規律が崩れていた。 |
原文・白文 | 膺獨持風裁、以聲名自高。 |
書き下し文 | 膺独り風裁を持し、以て声名自ずから高し。 |
現代語訳 | 李膺(りよう)という官僚だけが品格を保ち、自らの品位を保つよう努めていた。 |