
本来の意味 | 優秀な者を集めたいならば、まず身近な者から優遇すべきだ |
現代の意味 | ①大きなことを成すには、手近なことから行うとよい ②物事は言い出した者から取り組むべきだ |
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中国・燕国の王(昭王)は、国に優秀な人物を集めるにはどうすればいいかを、政治家の郭隗(かくかい)に相談しました。
郭隗は、自分のように優秀でない人物を優遇すれば、自分ならもっと優遇されると考えて、優秀な人物が集まるだろうと進言しました。
そこで昭王は、郭隗の言葉にしたがい隗(郭隗のこと)を登用したところ、優秀な人物が続々と集まりました。
このことから「優秀な者を集めたいならば、まず身近な者から優遇すべきだ」という意味で「隗より始めよ」が使われるようになりました。
それが転じて、現在は
「大きなことを成すには、手近なことから行うとよい」 「物事は言い出した者から取り組むべきだ」 |
という意味で使われています。
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①本来の意味と現代の意味/読み方 |
②由来・語源 |
③使い方・例文 |
④漢文の現代語訳・書き下し文・白文 |
⑤類語 |
⑥ 英語表現 |
⑦ 中国語表現 |
【隗より始めよ】2つの類語 | |
1 | 死馬の骨を買う |
2 | 大功を天下に建つる者は必ず先ず閨門の内を修む |

【隗より始めよ】4つの英語表現 | |
1 | practice what you preach |
2 | start from small things |
3 | start with the first step |
4 | whoever suggest should start |

【隗より始めよ】2つの中国語表現 | |
请自隗始 | 先自隗始 |


【隗より始めよ】本来の意味と現代の意味/読み方
意味・読み方
- ❶本来の意味
- ❷現代の意味
- ❸読み方

本来の意味
【隗より始めよ】の本来の意味は「優秀な者を集めたいならば、まず身近な者から優遇すべきだ」です。
【隗より始めよ】本来の意味 |
優秀な者を集めたいならば、まず身近な者から優遇すべきだ |
現代の意味
【隗より始めよ】の現代の意味は2つあります。
【隗より始めよ】現代の意味 |
①大きなことを成すには、手近なことから行うとよい ②物事は言い出した者から取り組むべきだ |
【隗より始めよ】は、本来は「優秀な者を集めたいならば、まず身近な者から優遇すべきだ」という意味でした。
この意味が転じて「大きなことを成すには、手近なことから行うとよい」「物事は言い出した者から取り組むべきだ」という意味で使われるようになりました。
【隗より始めよ】の読み方
【隗より始めよ】の読み方は「かいよりはじめよ」です。
故事成語【隗より始めよ】の由来・語源
由来・語源
- ❶由来・語源は「戦国策」の故事「先従隗始(先づ隗より始めよ)」
- ❷「先従隗始(先づ隗より始めよ)」の故事の内容
- ❸「先従隗始」の読み方
- ❹「戦国策(せんごくさく)」とは
- ❺「戦国策」に由来する故事成語

由来・語源は「戦国策」の故事「先従隗始(先づ隗より始めよ)」
【隗より始めよ】の由来・語源は、「戦国策(せんごくさく)の燕策(えんさく)」に書かれている故事「先従隗始(先づ隗より始めよ)」です。
「先従隗始」は、中国戦国時代の優秀な人材を確保する戦略にまつわる故事です。
子供向けの歴史書「十八史略(じゅうはっしりゃく)の春秋戦国・燕」にも同じ故事が書かれています。
「先従隗始(先づ隗より始めよ)」の故事の内容
中国戦国時代、燕国でのことです。
燕国の昭王(しょうおう)は、政治家の郭隗(かくかい)に、国に優秀な人物を集めるにはどうすれば良いか相談しました。
郭隗は次のように進言しました。
「私のようにあまり優秀でない人物も優遇して下さい。そうすれば、郭隗のような者が優遇されるのだからと、優秀な人物が集まってくるでしょう。」
これを実践したところ、自分ならもっと優遇されると考えて、優秀な人物が続々と集まりました。
このことから「優秀な者を集めたいならば、まず身近な者から優遇すべきだ」という意味で「隗より始めよ」が使われるようになりました。
それが転じて、現在は「大きなことを成すには、手近なことから行うとよい」「物事は言い出した者から取り組むべきだ」という意味で使われています。
「先従隗始」の読み方
「先従隗始」の読み方は「せんじゅうかいし」です。
「戦国策(せんごくさく)」とは
「戦国策」とは、戦国時代の遊説士の策略などを、国別にまとめた33編から成る書物です。
元々「国策」「国事」「事語」「短長」「長書」「脩書」と呼ばれていた書物がありました。
これらを、前漢の時代に、学者・政治家である劉向(りゅうきょう)が一つにまとめました。
「戦国策」は「戦国時代」の名前の由来となった書物でもあります。
「戦国策」に由来する故事成語
【虎の威を借る狐】と同じ、「戦国策」の故事に由来する故事成語に「蛇足」「漁夫の利」「虎の威を借る狐」があります。
「蛇足」「漁夫の利」「虎の威を借る狐」についても記事を書いています。
【隗より始めよ/先従隗始】漢文の現代語訳・書き下し文・白文

原文・白文 | 燕人立太子平為君。 |
読み仮名 | えんひと たいしのへいをたてて きみとなす。 |
書き下し文 | 燕人、太子平を立てて君と為す。 |
現代語訳 | 燕の人たちは、太子平を擁立して王としました。 |
原文・白文 | 是為昭王。 |
読み仮名 | これを しょうおうとなす。 |
書き下し文 | 是を昭王と為す。 |
現代語訳 | これが昭王です。 |
原文・白文 | 弔死問生、卑辞厚幣、以招賢者。 |
読み仮名 | しをとむらい せいをとい、じをひくくし へいをあつくして、もってけんじゃをまねく。 |
書き下し文 | 死を弔ひ生を問ひ、辞を卑くし幣を厚くして、以て賢者を招く。 |
現代語訳 | 昭王は戦死者を弔い、生存者を見舞い、丁寧な言葉を使って、多くの贈り物を用意して、国に賢者を招こうとしました。 |
原文・白文 | 問郭隗曰、「斉因孤之国乱、而襲破燕。 |
読み仮名 | かくかいに といていわく、「さい このくにの みだるるによりて |
書き下し文 | 郭隗に問ひて曰はく、「斉孤の国の乱るるに因りて、襲ひて燕を破る。 |
現代語訳 | 王は郭隗に尋ねました。「斉は私の国が乱れていることにつけこんで、攻め入って燕を打ち破りました。 |
原文・白文 | 孤極知燕小不足以報。 |
読み仮名 | こ きわめてえんのしょうにして もって ほうずるに たらざるをしる。 |
書き下し文 | 孤極めて燕の小にして以て報ずるに足らざるを知る。 |
現代語訳 | 私は燕が小国で、斉に報復する力がないことはよくわかっています。 |
原文・白文 | 誠得賢士与共国以雪先王之恥、孤之願也。 |
読み仮名 | まことに けんしをえて ともに くにをともにし もって せんおうのはじをすすがんこと、このねがいなり。 |
書き下し文 | 誠に賢士を得て与に国を共にし、以て先王の恥を雪がんこと、孤の願ひなり。 |
現代語訳 | 賢者と共に国を治めて、先代の王の恥をすすぐことが私の願いです。 |
原文・白文 | 先生視可者。得身事之。」 |
読み仮名 | せんせい かなるものをしめせ。みこれに つかうるをえん。」と。 |
書き下し文 | 先生可なる者を視せ。身之に事ふるを得ん。」と。 |
現代語訳 | 先生、ふさわしい人物を教えて下さい。その方を師事したいと思っています。」と。 |
原文・白文 | 隗曰、「古之君有以千金使涓人求千里馬者。 |
読み仮名 | かいいわく、「いにしえのきみに せんきんをもって けんじんをして せんりのうまを もとめしむるものあり。 |
書き下し文 | 隗曰はく、「古の君に千金を以て涓人をして千里の馬を求めしむる者有り。 |
現代語訳 | 郭隗は言いました。「昔の王に、千金もの大金で、側に仕える役人に一日に千里を走る名馬を買い求めに行かせた方がいました。 |
原文・白文 | 買死馬骨五百金而返。君怒。 |
読み仮名 | しばのほねを ごひゃっきんに かいてかえる。きみいかる。 |
書き下し文 | 死馬の骨を五百金に買ひて返る。君怒る。 |
現代語訳 | その役人は、死んだ馬の骨を五百金で買って帰りました。王は怒りました。 |
原文・白文 | 涓人曰、「死馬且買之。況生者乎馬今至矣。」 |
読み仮名 | げんじんいわく、「しばすら かつ これをかう。いわんや いけるものをや。うま いまにいたらん。」と。 |
書き下し文 | 涓人曰はく、「死馬すら且つ之を買ふ。況んや生ける者をや。馬今に至らん」と。 |
現代語訳 | その役人が言うには、「死んだ馬の骨でさえ、大金で買ったのです。生きている名馬ならば、なおさら高く買うはずだと思うでしょう。」 |
原文・白文 | 不期年、千里馬至者三。 |
読み仮名 | きねんならずして、せんりのうま いたるもの さんあり。 |
書き下し文 | 期年ならずして、千里の馬至る者三あり。 |
現代語訳 | 一年もたたないうちに、千里の馬が三頭も集まったのです。 |
原文・白文 | 今王必欲致士、先従隗始。 |
読み仮名 | いま おうかならずしを いたせんとほっせば まず かいよりはじめよ。 |
書き下し文 | 今、王必ず士を致さんと欲せば、先づ隗より始めよ。 |
現代語訳 | 王が優秀な人物を招きたいなら、まずはこの隗を優遇してください。 |
原文・白文 | 況賢於隗者、豈遠千里哉。」 |
読み仮名 | いわんや かいよりけんなるもの あに せんりを とおしとせんや。」と。 |
書き下し文 | 況んや隗より賢なる者、豈に千里を遠しとせんや。」と。 |
現代語訳 | この隗より優秀な人物が、どうして千里の道を遠いと思うでしょうか、いや、思わないでしょう」と。 |
原文・白文 | 於是昭王為隗改築宮、師事之。 |
読み仮名 | ここにおいて しょうおう かいのために あらためて きゅうをきずき これにしじす。 |
書き下し文 | 是に於いて昭王隗の為に改め宮を築きて、之に師事す。 |
現代語訳 | そこで昭王は隗のために新しく邸宅を築き、隗に師事しました。 |
原文・白文 | 於是士争趨燕。 |
読み仮名 | ここにおいて しあらそいて えんにおもむく。 |
書き下し文 | 是に於いて士争ひて燕に趨く。 |
現代語訳 | こうして優秀な人物が、争って燕の国にやって来ました。 |
【隗より始めよ】使い方・例文
使い方・例文
- ❶使い方
- ❷例文

使い方
【隗より始めよ】は教訓的な言葉なので、ポジティブなニュアンスで使われます。
「物事は言い出した者から取り組むべきだ」と押しつけるようなニュアンスで使われるのは間違いです。

大変そうだけど頑張ってね。



例文
【隗より始めよ】の例文は、次のようになります。
例文1 | 隗より始めよで、まずはできることから始めていこう。 |
例文2 | 自分が提案したことなので、隗より始めよで、自分で計画を立てることにした。 |
例文3 | 隗より始めよというのだから、提案した課長がリーダーに適任だろう。 |
【隗より始めよ】2つの類語

【隗より始めよ】の類語は、「死馬の骨を買う」などです。
【隗より始めよ】2つの類語 | ||
1 | 死馬の骨を買う(しばのほねをかう) | |
つまらないものを優遇することで、優れたものが自ずから集まってくること | ||
2 | 大功を天下に建つる者は必ず先ず閨門の内を修む (たいこうをてんかにたつるものはかならずまずけいもんのうちをおさむ) |
|
大きなことを成し遂げるためには、先ずは身近な家庭内をきちんと治めることが大切である |
「死馬の骨を買う」も【隗より始めよ】と同じで、「戦国策(せんごくさく)」の同じ故事に由来します。
【隗より始めよ】4つの英語表現

【隗より始めよ】の英語表現は「practice what you preach」などです。
【隗より始めよ】4つの英語表現 | ||
1 | practice what you preach | |
人に説くことは自分でも実行せよ | ||
2 | start from small things | |
小さいことから始める | ||
3 | start with the first step | |
第一歩を踏み出す | ||
4 | Whoever suggest should start | |
言い出した人から始めるべきだ |
【隗より始めよ】2つの中国語表現

【隗より始めよ】の中国語表現は「请自隗始」などです。
【隗より始めよ】2つの中国語表現 | ||
1 | 请自隗始 (Qǐng zì kuí shǐ) |
から始める |
2 | 先自隗始 (Xiān zì kuí shǐ) |
最初から |